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方針転換を迫られた時 [ 女子サッカー ]

なでしこジャパン佐々木新監督就任会見
やはり注目すべき点ははここ。

欧米のチームに対してわれわれのスペシャルなところで戦ってきましたが、相手の良さを消すための部分も、もっと今の女子の選手たちはできる。そういったところを彼女たちに注入して取り組んでいけば、絶対に欧米のチームに対しても、現在の力でもっとできると自負しています。
なるほど、そうきたか。
以下は想像の域を出ないが、おそらくターニングポイントはワールドカップのドイツ戦だろう。

それまで体格の良い強豪と当たった時のなでしこジャパンは、
相手からのプレッシャーに負け、精神的なもろさを見せて
力を発揮出来ないまま自滅するパターンが多かった。

ところが前述のドイツ戦では、プレッシャーに負けることなく自分達のサッカーを出すことができた。
しかしスコアは0-2。

それまでパスサッカーを追求してきたなでしこジャパンが自分の力を発揮して
良い内容だったにも関わらず、ドイツには勝てなかったという事実を受け止めた時、
推進してきた路線を変更しなければならないと大橋前監督は思い至ったのではないだろうか。
少なくとも北京五輪までの強化策としては。

長期的にはなんらかのやりようはあるんじゃないかと思うが、
方針転換を迫られ、そしてそれが自らの本来的な意図とはそぐわなかったことが、
大橋前監督退任の理由かも知れない。
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最終節にふさわしい試合 [ 女子サッカー ]

なでしこリーグディビジョン1 第21節 ベレーザ対浦和。
風は冷たいものの晴天に恵まれた夢の島陸上競技場での最終節。
拮抗した試合は引き分けで終わり、ベレーザが3連覇を果たした。

試合開始30分前に到着したが、既にあらかた席が埋まっている。
それもそのはず、その時点でマッチデイが全てハケてしまっていてもらえないくらいだったから。
おそらく観客数は1000人弱であろう。

メインスタンド中央付近にのんびり座って観ようと思っていたのに当てが外れた私は、
ベレーザサポーターのいるホーム側ゴールを真正面に見据える位置へ。
するとベレーザサポが最前列の手すりに固定したフラッグに遮られて視界が悪いことこの上ない。
こりゃあかん。

さらにスタンドの端に行けば空いているが、そんな観にくい場所で観戦するのもしゃくだったので
結局、スタンド中央部の席の後ろで立観することにした。

それから前から気付いていたが、女子の試合になるとカメラを構えている男が
やたら多いのは気のせいだろうか。
東京の試合はゴール裏にいるので、メインスタンドの様子は知らないんだけれども。

今日も、私の隣にいたおっちゃんは片時もファインダーから目をそらさず、
明らかに試合を観るというより写真を撮ることに専念している。
そういう輩が目立つんだよなぁ。

それはさておき。

立ち上がり、浦和が湯気の立ち上るような熱いプレーを見せる。
ボールを持つ時間は長くはないが、浦和は2人3人と人数をかける出足鋭い寄せや
スライディングタックルなど気迫みなぎるプレーでベレーザを圧倒、ペースを奪った。

そしてその流れの中、浦和の柳田が見事な先制点を決める。
左サイド深く切り込んだところからマイナスに戻ってきたボールを
遠目の位置にも関わらず思いっきりぶっ叩いた柳田のシュートはゴール右上隅に突き刺さった。
浦和イレブンの気迫がボールに乗り移ったかのような素晴らしいゴール。

立ち上がりから押されるままに先制を奪われてしまったベレーザは苦しい展開。
だがベレーザにあわてる様子は全くなく、
浦和のプレッシャーの厳しさに苦戦してややパスミスが目立つものの、
冷静にパスを回す姿勢は変わらない。

そのうち、ベレーザの選手が浦和のプレッシャーに慣れてきたのか、
浦和の出足がやや鈍ってきたのか、
ベレーザは落ち着いたキープからフィールドいっぱいにボールを動かす
大きな展開が出るようになってきた。
この辺りはさすがである。

そしてベレーザのボール支配の続いていた後半、試合が動く。
今日は左から永里、大野、荒川をトップに据えた4-3-3だったベレーザが、
荒川を下げて伊藤を入れ、永里と大野の2トップになってまだ間もない時間。
ベレーザのシュートからボールがゴール右、ペナルティエリアの角あたりにフリーでいた小林に渡り、
冷静に放たれたボールはゴールネットを揺すった。

この同点弾はシステム変更が間接的に功を奏している。
小林は伊藤INによって中盤が4人になると同時に
ダブルボランチの一角から右サイドへポジションを移しており、
同点に追いつく得点機会にペナルティエリア付近右サイドの位置にいたのは
このポジション変更があったからだった。

その後は一進一退で進み試合終了。
ベレーザは勝利では飾れなかったが3連覇を決めた。

浦和の厳しいプレッシャーをかいくぐって技巧的な試合を見せるベレーザもすごいが、
それ以上に浦和の奮闘ぶりの目立つ、シーズンを締めくくるのにふさわしい試合だった。

ルックアップにはボールテクニック [ 女子サッカー ]

なでしこリーグディビジョン1第20節ベレーザ対TASAKI。
気持ちの良い冬晴れの江戸川区陸上競技場で行われた首位決戦。
意外にも、ともに16勝1分2敗で並ぶチーム同士以上の差がついた。

ベレーザがタイミングのいいオーバーラップとスルーパスで次々とチャンスを作るのに対し、
TASAKIは確率の低いロングボール、一発を狙ったDFの背後へのパスしか攻め手がない。
頼みのFW2人の間の連携もさしてなく、単独で単発の攻撃しかしかけられない。
たまに上がるサイドからのクロスも精度が悪くてシュートになかなか持ち込めない。
と、なんだかないない尽くし。
頑張ってはいるんだけど。

ベレーザのサッカーはいいなぁ。
高いスキルと豊富な運動量は基盤。
その上に築かれた連動性の高いパスサッカー。

ベレーザの攻撃時を観ると、縦方向の動きが多い。
トップが下がって来る、MFがボールを追い越す、サイドバックがオーバーラップを仕掛ける。
これら周囲の動き出しを、またボールホルダーがよーく見ていてタイミングのいいパスが出る。

さらに時折、サイドのスペースも組み合わせた攻撃を繰り出してきて手に負えない。
一方のサイドに寄せておいて、その大外をサイドバックがオーバーラップ、
そこへDFラインの裏を突く絶妙なサイドチェンジで一気に突破するという、恐ろしい攻撃。

あと観ててあらためて思ったのが、ボールテクニックの重要さ。
TASAKIのボールホルダーがプレッシャーをかけられると単純にバックパスしたり蹴ってしまうのに対し、
ベレーザの選手達はするっとプレッシャーをかわして前を向き、視野を確保することが出来る。

連動性のレベルの高さはもちろん特筆すべきことだが、
それを支え、生かすことが出来るのはボールテクニックあってこそ。
今更ながら思ったのだった。

首位決戦を制したベレーザは次節で3位浦和と対戦。
優勝はほぼ手中にあるが、勝って決められるか。
会場は夢の島陸上競技場。

この時期でか [ 女子サッカー ]

女子代表の大橋監督が退任
私にとってはかなり驚きのニュース。

当ブログでは何度も書いているし、オシムも認めるように、
なでしこジャパンのサッカーのレベルは世界基準で見てもトップクラスである。
もともと上田監督の頃から高いレベルのサッカーをしてはいたが、
それをワンランク上に引き上げ、強豪国相手にもそれなりの試合を出来るようにしたのが大橋監督だ。

以前は体格の良い強豪国相手には手も足も出なかったなでしこジャパンだが、
9月に行われたワールドカップのグループリーグ第3戦では、
前回優勝国であり、この大会で連覇を果たすドイツ相手に物怖じせず互角に戦い、
しかも内容では上回っていた。
これは間違いなく大橋監督の功績である。

記事を見ると大橋監督が契約を更新しなかったということだが、うーむ、何故だろうか。
全くの憶測だが、サッカーそのものではなく、周辺の事情が原因のような気がする。
ちょっと手詰まり感はあったけど、それでも北京五輪まではやって欲しかった。
なかなかあのレベルのサッカーを具現化出来る人はいないし、
いかなる相手にも実力を発揮出来るようになってきていただけに、
北京五輪への期待が高まっていたところだったのに。

協会としても後任人事に頭の痛いところだろう。
一番手っ取り早い方法で、なでしこリーグの現役監督の引き抜きがあるかも知れない。
なでしこリーグは12月15日(土)の1部2部入替戦を最後にシーズンを終える。
オフの間にその辺の交渉が行われる可能性はありそうだ。

いずれにしろ、北京五輪でのなでしこジャパンのサッカーはどうなるのか。
不安と期待が混じる。

感情移入 [ 女子サッカー ]

なでしこリーグカップ2007準決勝ベレーザ対INAC、浦和対マリーゼ。
結果は5-0と1-1(PK4-2)でベレーザと浦和が決勝進出を果たした。
結果としては順当といったところ。

試合は埼玉スタジアム2002第3グラウンドで行われた。
リーグカップ自体が急に決まったものだし、いろいろと事情はあるんだろうと察する。
が、ディビジョン1及び2の全16チームが参加するリーグカップベスト4が顔を揃える会場じゃない。
来シーズンでは改善を要望したい。

しかも今日は暑かった。
私がいた場所はフェンスのすぐ傍だったので、張られた横断幕で陰が出来て
第2試合の前半終わり頃には楽になったが、他の人はつらかっただろう。
これは第2試合の話で、第1試合は前後半通じてフライパンで焼かれているかのような暑さである。
選手はホントにお疲れさまだ。

ベレーザとINACはその点差が示す通り。
1失点目がサイドバックのミスからで悔やまれるが。

途中で負傷退場したINACの10番が原歩で驚いた。
代表では一瞬のきらめきのあるプレーを見せる原だが、
INACではうまさは見せるものの、あまり生きていなかったからだ。
まぁ今日は相手が悪いし、調子もあるだろうし。

逆に凄かったのがベレーザの28番。
なでしこリーグのオフィシャルガイドブックには掲載されていない選手である。
近くから漏れ聞こえてきた話によると、まだ中学生14才だそうで。
なんとフォーティーン(!)である。

前半20分くらいだったか、果敢なドリブル突破からDFをかわして右足一閃、
ゴールを急襲したプレーは圧巻だった。
全く末恐ろしい中学生である。

前半は頑張っていたINACだが、後半はほとんどハーフコートゲームに。
というような実力差もあって準決勝第1試合のおもしろさはそれほどでもなかった。
だが第2試合は違った。

個々の選手の能力から言えば明らかに浦和が上。
それもそのはず、マリーゼは昨シーズンディビジョン1最下位で2部落ちしたチームである。
浦和は安藤を筆頭としてFWのスキルが高い上スピードがあり、中盤の構成力も高いため
マリーゼDFを手玉に取るように抜け出す。

あと浦和ではボランチの8番。
派手なテクニックを持っているわけでも、スピードがあるわけでも、運動量が豊富なわけでもない。
体型もアスリートっぽくないが、うまい。
先制点を奪ったのは確かこの選手である。
いきなりガッと前へ出て得点を奪って帰って来る。
おもしろい選手だ。

浦和が作るチャンスの度にマリーゼGKがビッグセーブでこらえる。
このGKファインセーブを連発していて決定機を何度救ったかわからないくらいだが、
その分というか、コワい。

ちょっと無理目でタッチラインを割りそうなボールが出た時、
サイドハーフに向かってドスの効いた声で「追っかけろ!」と叫んだりしていた。
後ろの声は神の声と言うが、マリーゼの神様はえらく迫力のある神様である。

マリーゼはつなごうとするのだが、出しどころに困って結局蹴ってしまう、ということが多い。
しかもDFラインからのパスにミスが多く、リズムを崩す。
その上個として浦和に太刀打ち出来る選手は、14番丸山、21番くらいか。

8番の選手はキャプテンらしくものすごく走っていた。好感の持てる選手だ。
11番の選手も頑張ってたな。
なんとか前へボールを運んでシュートへ、という気迫のこもったプレーが良い。

先制された後、何度かチャンスは作るものの全体としては浦和ペースで
頼みの丸山も交代して攻撃力が半減、その影響か
終了間際になっても怒濤の攻めを見せられるわけでもなく、ちらほらと帰り始める観客も出る中、
今日最大のドラマが待っていた。

この頃になるとギリギリのところで踏ん張って懸命なマリーゼイレブンに感情移入していた。
最初は特に思い入れはなかったのに。
左サイド深く切り込んだ21番の選手がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得したのである。

キッカーも担った21番の選手が決めて同点に追いついた後、
試合再開の笛の直後に後半終了の笛が吹かれるというタイミングでの同点劇だった。

結局マリーゼはPK戦で力尽きたわけだが、私のような一見をも引き付けるひたむきさと
終盤の盛り上がりは本当に楽しかった。
久しぶりにいいものを見た。

薄氷 [ 女子サッカー ]

女子ワールドカップ北京2007 1次リーグ なでしこジャパン対アルゼンチン。
またもや終了間際の得点で1-0と薄氷の勝利。フジテレビの中継を録画で。

解説の川上直子が盛んに「もっと動け」「100%の力で」と言っていた。
確かに動けていない時間もあったけど、いつもより動けていないとは思わない。
アジアレベルで通用する動きの質、量、スピードの、何割増しかを出さないと
世界では通用しないと、そういうことだろう。
前回大会ではチンチンにしてやったアルゼンチンでも。

あれだけがんばっているのを見て、もっと行けと言うのはなかなか難しいね。
終了間際の得点も、執念の賜物だろう。
しかし次のドイツ戦はそうも言ってられない。

これまでガタイの良い強豪との試合では、まずデカさとプレッシャーに負けて
中盤でつなぐことが出来ず、イージーなミスを連発して自滅するケースが多かった。
だからもっと気持ちを強く持って。

勝ち点ではイングランドを上回っているが、情勢は有利ではない。
イングランドはドイツに対して引き分けているから、
得失点差が最小限の日本はドイツに対して勝つ必要が生じる。
次も厳しい戦いが続く。

首の皮 [ 女子サッカー ]

女子ワールドカップ北京2007 1次リーグ なでしこジャパン対イングランド。
2-2の引き分け。フジテレビの録画中継で。
勝負に負けて試合に引き分けた。

相手が日本をよく研究してきたのに加え、日本が自分達のサッカーが出来ず、
ミスも多かったために、内容的には負けてもなんら不思議はなかった
(監督や宮間は勝てた試合だったと言っているが)。

相手が研究しているなと感じたのは、
日本ボールの時に高い位置からプレッシャーをかけてパスミスや苦し紛れの横パスを誘うこと、
サイドバックの裏を攻撃の起点にすること、
日本DFラインの裏へ飛び出す時の走るコース取りである。

日本はもう少し選手が動いて短いパスをつなぎたかった。
縦に急ぎ過ぎ、中長距離のパスを多用したためにリズムに乗り切れない。
この辺はピッチコンディションの悪さも影響しただろうか。
マーキングやプレッシングの厳しさはそれほどでもなかったと思うので残念なところだ。

そんな劣勢を跳ね返したのが、まるで反則技のような宮間のFK。
イングランドにしてみれば、試合の内容とは無関係なFKでやられて悔しさ100倍だろう。

日本は内容的には良くなかったが、応援しがいのある試合だった。
次節アルゼンチン戦では、前回大会での同カードのような素晴らしいサッカーを見せて欲しい。

チームとしては曲がり角か [ 女子サッカー ]

オリンピック北京2008 女子最終予選、なでしこジャパンはタイ代表との最終戦を5-0で終えた。

意外や意外、タイはDFラインをかなり高くしてプレッシング、
さらにオフサイドトラップを積極的にかけるという近代的戦術をとってきた
(積極的なオフサイドトラップは男子では見なくなっているが)。

しかもボールを奪った後は、単純な”ロングボールFW頼むぞ”ではなく、
目指すサッカーに対する意識の高さを窺わせる。

ただ個人としても全体としても、目標にまでレベルが到達していないのでまだまだなのだが、
ちょっと前の日本てこんな感じだったんじゃないだろうか。
そういう意味で親近感のわくチームである。
時折センスあふれるパスがDFラインの裏に出たりして、そんな時は少し末恐ろしくなったりする。

日本はいつも通り、人もボールもよく動いて奇麗なサッカーを見せる。
試合開始前は女子ということもあって蒸し暑い中の運動量が不安だったが、
昼間の暑さからするとかなり気温が下がって、さわやかな夜風が吹いていたこともあり、
影響なかったようだ。

この前のアウェイベトナム代表戦辺りから思うのが、
このチームはもう完成の域に入っているのではないかということだ。
もちろんまだまだ足りない部分はある。
だがチームとして出来ることは、おそらく選手の入れ替えくらいじゃないか。
あとは個々のレベルアップに頼るしかない。

勝手な憶測だが、チームとしてのパフォーマンスは
9月に行われるワールドカップを頂点として、あとは下降していくのではないだろうか。
ちょうどトルシエ監督時代の日本代表が、2001年のコンフェデ以来下り坂に入ったように。
その時は、4年目の大橋監督の手腕が試される時だろう。



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