代表監督のせいじゃない、お前らのせいだ [ Jリーグ ]
サポティスタで紹介された朝日新聞のこの記事。
「視聴率が伸びないのはオシムのせいじゃなくて、ドイツで日本代表が惨敗したからでしょ」
というコメントが付記されているが、私は一足先に紙面でこの記事を読んで
別の感想を持った。
それは、TVを筆頭とするマスメディアがJリーグをちゃんと報道しないからでしょ、
というものだ。
大住良之も同様のことを述べている。
マスメディアがピックアップする選手は、既に代表に選出されている選手。
これじゃ若手、中堅、ベテランを問わず代表に抜擢される選手が
全国的に無名なのはあったりまえでしょ。
何を寝ぼけたことを言っているんだと。
オシムが代表に選出する基準は明確だ。
90分間チームのために動けるということを大前提として、
まずオシムのサッカーを理解している千葉の選手。
次に浦和を筆頭とする成績上位のチーム所属の選手。
さらに個人的に成績のいい選手。
そして、将来性のある選手。
千葉の選手の中には、全国的に無名な選手がいるのも致し方ないかも知れない。
だが成績上位チームや個人成績に優れる選手が無名であることは、本来あるはずのないことだ。
個人成績は言うに及ばず、成績上位チームの選手は
18チームあるJ1の上位に位置するだけの活躍をしている選手だからだ。
マスメディアが自分達の目で試合を観、選手を観て、
良い選手をピックアップして行けば、おのずと引っかかってくるはずの選手達なのだ。
キリンチャレンジカップガーナ代表戦のメンバーを例に取ってみよう。
千葉組及び、メンバー発表が行われた10/1時点でのリーグ1位浦和、2位ガンバ、3位川崎の選手は以下の通り。
そして好成績組は田中達也が外れたために、そのまま日本人得点ランキング上位4人になった。
千葉組:巻、阿部、佐藤勇人、羽生、山岸智、水本
浦和組:三都主、鈴木、長谷部、山岸範宏
ガンバ組:遠藤、二川、播戸、山口
川崎組:中村、我那覇
好成績組(得点ランキング上位4人):播戸(ガンバ)、佐藤寿人(広島)、我那覇(川崎)、巻(千葉)
これ以外の選出メンバーは、次の通りだ。
川口(磐田)、駒野(広島)、西川(大分)、青山(清水)、田中隼磨(横浜)、今野(東京)。
このうちジーコ監督時代から選出され、かつ各年代別代表でも活躍してきた川口、駒野、今野を除外した
西川、青山、田中隼磨が、おおざっぱに言って将来性を買われた選手ということになるだろう。
この3選手に、千葉組で初招集となった山岸智と水本を加えた5人。
これだけだ。
マスメディアがきちんとJリーグの報道をしていれば、全国的に無名な選手は
わずかこれだけのはずなのだ。
自らの無責任ぶりを棚に上げるどころか屋根裏に押し込み、
代表監督に責任転嫁するなどとは、筋違いも甚だしい。
まったく大概にして欲しいものだ。
余談
朝日新聞と言えば、トルシエ解任と日韓W杯時の中田英寿代表引退という2つの飛ばし記事で
サッカーファンからの信頼を著しく失ったことで知られる。
トルシエ解任の時は、”解任”というキーワードを意図的にリークし、
トルシエ降ろしの時流を作ろうとした協会内部の人間にいいように利用され
(もしくは承知の上で無根拠の記事を掲載し)、
中田英寿代表引退については、中田側から何のコメントも出ないまま
日本代表として活動を続けたために、全くの事実無根の記事と断定されていた。
だが、ドイツW杯後の中田英寿現役引退特番で、日韓W杯後の代表引退については
間違いではなかったことがわかった。
ご記憶の人も多いだろう。
彼はインタビューに答えて、次のような内容の発言をしていた。
日韓W杯後、代表引退に傾いていた。
ジーコが代表監督に就任したからそれを翻した。
朝日新聞の記事は、報道という意味では間違っていたが、
中田英寿の心情を正しく映したものではあったのだった。