原監督の英断 [ FC東京 ]
4/3(金)に行われたヴェルディ戦では、徳永と栗澤という2人の特別指定選手が出場した。
水曜日にシンガポールでW杯予選を戦ってきた加地のコンディションを考えれば、
徳永の先発出場は既定路線である。
しかし、練習試合での好調ぶりが伝えられているとは言え、栗澤のベンチ入りは意外だった。
原監督は常々、代表組でも優遇はしない、調子の良い選手を使うと公言して
チーム内競争を高めようとしているが、実際に実行に移すのはなかなか難しいだろう。
最大の理由は、やはりリスクを伴うからである。
多少なりとも実績のある選手を使った方が監督もサポーターも安心だ。
左サイドには鈴木規郎というワールドユースUAE大会で活躍し、U23代表候補にもなった選手がいる。
その規郎を使って失敗した時の風当たりより、栗澤を使って失敗した時の風当たりの方が当然強い。
そうしたリスクを乗り越えて自分の眼力を信じられる勇気が必要だ。
栗澤は馬場の決勝点をアシストし、原監督の期待に応えた。
原監督は自分に対する自信を深め、監督としての階段を一歩上がることができただろう。
そして言動を実行に移す監督の姿は士気を高め、さらにチーム内競争も高まる。
クラブに正式に所属する選手ならともかく、
未知数の特別指定選手の起用は一種のギャンブルめいた部分を持つかも知れない。
それを単なるギャンブルに終わらせないためには、
選手個々の能力を見極める確かな鑑識眼、チーム内でどう生かすかという冷静な分析力が必要だ。
今回の件は原監督の能力の一端を示したと言えるだろう。
「結果を出していない選手は使わない」という自らの言葉にも、
「ドクターがOKと言ったから」と選手のコンディションを見極める眼にも、
責任を持とうとしない日本代表監督を思い起こすと、英断に対する賞賛の念はいっそう高まる。
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