お疲れ様 [ 日本代表 ]
W杯南アフリカ2010 決勝トーナメント1回戦日本対パラグアイは120分戦って0-0。
PK戦で破れ、日本は大会を去ることになった。
惜しかった。そして悔しい。
強豪相手にもう一歩という感じではなく、十分勝てる相手に勝つことが出来なかった、
そういう悔しさである。
ワールドカップの舞台であとひとつ勝てばベスト8という状況で
いわゆる世界のトップ10に入るような強豪国ではなく、
格上だがそこそこの国と当たるという千載一遇のチャンスだった。
そして実際の感触も悪くはなかった。
悔しさ倍増である。
が、何はともあれよくやったと思う。
大会直前のどん底の状態を思い出せば、まさに起死回生、相当遠くへ来た感じがする。
この試合、立ち上がりから少し経つまでは、日本のMFがやや引き過ぎのようだった。
DFが下がるのはいいのだが、MFまで下がり過ぎると本田との距離が開き、
相手ボランチにプレッシャーがかけられない。
結果、これまでの試合ではボールが行った先に必ず日本選手が待ち構えている
という磐石の状態だったのが、結構後手後手を踏んで崩される場面が散見していた。
そして選手間の距離が悪いからかどうか、攻撃面でもパスがつながらず、
単純なパスミスが目立っていた。
この配置が戦術的な狙いがあってのものなのか、
そうなってしまっているのかはわからなかったが、
前半途中から遠藤をひとつ上げてトップ下のようなポジションに配置した。
そこから相手ボランチにプレッシャーをかけるようにしていたところを観ると、
狙ってのものではなかったということだろうか。
遠藤を上げた時点で日本は4-2-3-1。普通のダブルボランチだったので、
後半に阿部を交代させた時にもさほど抵抗はなかったろうと推測する。
阿部と言えば現在のアンカーシステムの立役者なわけで、
アンカーとしての阿部を代えるのには相当抵抗があるだろうが、
ダブルボランチの片側としての阿部ならそうでもない。
しかもダブルボランチで遠藤と長谷部のふたりは長いこと組んできたコンビである。
トップ下憲剛となり、ふたりとも攻撃的なボランチという
岡田監督がこだわってきたシステムが披露された。
出来ればさらに攻撃的なサイドの選手を入れてガンガン行きたいところだったが、
残念ながら駒不足。
ただ、試合前に挙げた攻撃的かどうかのポイントからすると攻撃的だったと言えるだろう。
1トップ本田と、サイドハーフ2人、トップ下憲剛、ボランチ長谷部or遠藤、サイドバックどちらか。
攻め上がる時は常時5、6人で人数をかけていた。
日本は惜しいチャンスを作ったが、結局得点ならず。
PK戦で敗退することとなった。
敗退が決まっても私は割と冷静で、試合を振り返ったりしていたのだが、
後でこの写真を見て思わずもらい泣きしてしまった。
涙ぐむ松井と駒野
あの、感情を表に出さず、ゴーイングマイウェイでかつ飄々としている松井が、
ここまで感情をあらわにしているのをみて心を揺さぶられた。
逆境を跳ね返して輝く彼らは格好良かった。
心からの賞賛を送りたい。
直前 [ 日本代表 ]
決勝トーナメント1回戦、パラグアイ戦の直前。
この試合では本田のキープに、サイドハーフ、セントラルミッドフィールダー、
そしてサイドバックの積極的な上がりに期待!
そこにかける人数で日本の攻撃的度が測れる。
行くぞおおお!!!
予想とは、裏切られるもの [ 日本代表 ]
デンマーク戦について。
立ち上がり、日本はデンマークにパスで崩されてサイドからチャンスを作られていた。
しかも後手後手に回ってフリーでクロスを上げられるので、かなりヤバい状態。
このまま続けば失点も時間の問題かと思われた。
私はわからなかったのだが、日本は4-2-3-1のシステムで望んだらしい。
メンバー的には同じ、しかしアンカー阿部システムじゃなく、ダブルボランチに変更してきた。
試合後の会見で岡田監督が言っていた。
立ち上がり10分過ぎでいつものアンカー阿部システムに戻して以降、守備が安定する。
もちろん相手のシステムとの相性もあるだろうが、
アンカー阿部システムが如何に強力かがわかる流れだった。
そして日本のFKから先制点が生まれる。
朝にも書いたが、この試合最大のポイントである。
攻撃、どうやって点を取るかが一番の課題である日本が点を取ってしまった。
それまでにも日本がある程度良い形を作っていたが、
それも含め、この試合で日本が攻撃でそれなりの形を作れたのは、
試合の状況に負うところが大なのは間違いない。
勝たなければ決勝トーナメント進出がないデンマークは前がかりにならざるを得ない。
日本はそこを突けば良かった。
1点を取られれば更に得点が必要となり、前に出て行く必要が生じ、
DFが薄くなってファウルで止める機会も増える。
それにしても、まさかグループリーグ突破するなんて。
まず間違いなく3戦全敗だと思っていた。
チーム状態がどん底まで落ちて、開き直った末の守備的戦術の採用が
起死回生のタイムリーヒットとなったような感じだ。
岡田監督はこういう、窮地に陥ったチームを急ピッチで立て直すのは
前回の代表監督就任時で証明済みだし
理想を追ったはいいがうまく行かず、現実路線に戻して結果を出すのは
札幌や横浜時代に経験済みだ。
そういった緊急回避的手腕は素直に凄いと思う。
しかし、先日も書いたが今回の場合は攻撃面で間に合っていないと思う。
デンマーク戦では攻撃的な姿勢が賞賛されているようだが、
私はそれほど攻撃的だとは思わなかった。
前述の通り、状況に助けられてる部分が多いと思うわけだが
(もちろんその状況を作り出したのは日本ではある)、
そうすると心配なのは次のパラグアイ戦だ。
決勝トーナメントでは互いの立場は平等である。
しかもパラグアイは伝統的に守備が堅く、今大会でも3試合で1失点。
今までのようには行かない、と予想するが気持ち良く予想を裏切って欲しい。
3-1日本! [ 日本代表 ]
W杯南アフリカ2010 グループE第3戦日本対デンマークは3-1の勝利。
日本は2002年日韓大会以来の決勝トーナメント進出を決めた。
まずはおめでとう。
よくがんばった!
「もう終わってた」なんて書いて済みませんした。
この試合の最大のポイントは早い段階での先制点だろう。
日本にとっては、課題だった攻撃面でどうするかがセットプレイでいきなり解消してしまった。
デンマークにとっては、勝たなくてはならない試合でいきなりビハインドを背負ってしまった。
当たり前だが、それにも増して先制点の持つ意味は大きかった。
もっと詳しくはまた後ほど。
いったん寝ます。
皆さんお疲れ様でした。
長友とロメダールとロングボールと攻撃どうすんの? [ 日本代表 ]
見せ場続く長友、今度はロメダール
しかし、ウォルコットより速いってほんとかね。
31歳だぞ奴は。
おそろしいな。
まあでも、ロメダールも完封したらマジで海外が現実的になってくる。
ただ長友は守備では実力を証明しているが、攻撃は世界レベルとは言い難い。
カットインしてのシュートはいいものを持っているが、
クロスはその弾道、精度においてまだまだ。
突破力はそれほど上げる必要はないと思うが、クロスの改善は必須だ。
さて日本代表は今大会始めてロングボールを多用してくるチームと当たる。
はっきり言ってまともに競り合ったら分が悪いので
(CBが捨て身で競り合うのは当然のこととして)、
まず出所を押さえる、セカンドボールをアンカー阿部が拾う、を徹底しないときつい。
攻撃は、、、どうするのかね。
変えてくるのか、そのままか。
カウンターが有効と言われてるけど、本田1トップシステムはカウンター向きじゃないし。
全く予想つかない。
やっぱり攻撃か [ 日本代表 ]
W杯南アフリカ2010 グループE第2戦日本対オランダは0-1の敗戦。
よく頑張ったけど、限界も見えた。
日本はカメルーン戦と同じ布陣で守備的な入り。
場所的には自陣に入ったところ、ポジション的には相手のボランチ辺りからプレッシャーかけていた。
CMFの2人が相手のダブルボランチ、アンカー阿部がスナイデルに相対してバランス良く守ることが出来、
圧倒的にボールを支配されながら、危ない場面は作らせなかった。
というのが前半。
後半に入って、オランダがシフトアップしてきて狙い通りやられてしまった。
ここから日本は、攻撃的に戦い方を変える。点を取り返す方に。
CMFの2人や両サイドバックが勢いよく上がるようになり、オランダを押し込む形に。
選手交代を機にシステムも攻撃的に変える。
中村が入ってからのピッチ内を観てると、彼のパスを受ける選手が欲しくなってくる。
本当に点が欲しいなら、裏を狙うタイプのFWを入れて2トップにするべきだと思っていたが、
まさか岡田監督がそういう交代をするとは思わなかった。
玉田と岡崎を入れ、本田と岡崎の2トップ、中村と玉田のサイドハーフ、
阿部と遠藤のボランチで4-4-2。
さらにそこから闘莉王を前線に上げて阿部をCBにし、遠藤の1ボランチ。
正確にはわからなかったけど、4-1-3-2のようなシステムか。
かなり攻撃的な布陣である。
しかし、攻撃的に変更して実際オランダを押し込む形にはなったものの、
いい形でシュートを撃てるチャンスは闘莉王が長いクロスを岡崎に落とした1回のみ。
攻撃的シフトチェンジは効果的に機能したとは言い難い。
特にみんな指摘している選手交代。
交代で入った中村、玉田、岡崎は、現在の阿部アンカー、本田1トップへのシステム変更に伴って
外されてしまった選手たちであり、現在のチームコンセプトに合っていない。
今回のような試合展開ならサイド突破型の選手を入れたかったし、
本田があまり機能しないようなら、ヘディングでの競り合いにもある程度の可能性を見出せる
別の1トップを張れる選手を入れたい。
それは例えば石川であり、前田であるわけだが、彼らを筆頭として
そもそも現在のコンセプトに合うような選手が23人に選ばれていないのだ。
非常に強固な守備網を築けて強豪国にも太刀打ち出来るようになり、
先行逃げ切りなら可能になったが、先制されて点を取りに行かなければならなくなった時、
さてどうしようという感じで手がなかった。
突貫工事は守備の面では成功したが、攻撃面では間に合わなかった。
と言うより選手選考からやり直さなければならない程の大転換だった。
W杯という舞台でオランダ相手に引き分けの可能性も十分あったのは成功の部類に入るだろう。
しかし、選手選考の時点で本大会での方向性を見出せていれば
それ以上の結果や内容も期待出来たわけで、それは残念以外の何物でもない。
評価がコロコロ変わって申し訳ないが、
私はカメルーン戦の評価で、方向転換は間に合ったと書いたが、訂正である。
方向転換は、守備の面では間に合った。しかし、攻撃面では間に合わなかった。
守備で世界の強豪国とほぼ互角の域というのは凄いことだ。しかもこの短期間で。
しかしやっぱり、守備で相手を焦らせるだけでなく、攻撃で相手をおびやかすのも観たい。
それが結果に結びつかなくとも、相手に日本やるな、我々からすればただ負けはしねーぜ!
と思わせ、思えるような戦いぶりが見たい。
長友とカイト [ 日本代表 ]
長友 ゲーセン入り浸りの日々乗り越え 恩師と母のために戦う
いい話だなあ。
「お母さんがいてくれるだけで、僕はよかった」
これは泣ける。
ボローニャとか具体的な名前もちらほら出ている通り、長友は東京で今一番海外クラブに近い選手だ。
エトー側の要因もあるようだが、あのエトーを封じたという事実は大きい。
海外移籍へ加速するかもしれない。
サポとしてはなんつーかちょっと微妙ではあるが。
オランダ戦ではおそらくカイトとマッチアップする形。
カイトは突破力のある選手ではないので、エトーのようにドリブル警戒というよりは
縦横無尽に動く運動量と勝負ということになるだろう。
オランダ初戦の2点目は、カイトが労を惜しまずゴール前に詰めていたことで生まれた得点だ。
これに象徴されるようにひとつひとつのプレーを大切にする選手なので、
そういう部分で負けないようにしたい。
カイトは守備も献身的にやるので、それを逆手に取れば
長友が押し込んで相手の攻撃を封じることも出来そうだが、今の戦術ではそうはしないだろう。
ついさっきオランダ戦のスタメンが発表されて、カメルーン戦と同じとのこと。
やや守備開始ゾーンを上げるという報道があるが、
それ以外はカメルーン戦と同じ戦いぶりになるだろう。
大勢を占める反応としては、勝てば万々歳、引き分けて上出来、負けても致し方なし、という感じかな。
守備的戦術の世間の最終的な評価はデンマーク戦以降に持ち越される。
間に合った方向転換 [ 日本代表 ]
W杯南アフリカ2010 グループリーグ第1戦日本対カメルーンは1-0の勝利。
よく頑張った。
後半半ば以降、防戦一方になってからの頑張りにはちょっと胸を打たれた。
チーム一丸となってもぎ取った勝利だったと思う。
しかし、結果とそれに対するひたむきなプレーは充分賞賛に値するが、
(狭義の)内容では観るべきところはなかった。
この試合、日本の勝利の最大の要因は、守備的戦術への移行が功を奏した(間に合った)
ということだろう。
どんなポイントに功を奏したかと言うと
・守備力の強化
・意思が統一されてプレーがはっきりした
この2点かな。
後藤健生のJ Sportsのコラムではもうひとつ、
・サイドバック、ボランチの攻撃参加がしやすくなる
を挙げていて、それは確かにそうだが、
だから攻撃力が上がるわけではないのでここではカウントしない。
もともと4-4-2だったシステムからFWを1つ削って守備専任者にしているのだから、
攻撃の枚数は増えない。
マイナスにはならないという程度のものなので、
あえてポイントとして挙げるべきものでもないだろう。
ところでこの”ボランチ2枚が両方とも攻撃的な4-4-2”は、岡田監督がTVのインタビューに答えて
「世界的にもあまり類を見ない、攻撃的な布陣」とこだわりを持っていたところで、
監督の内面的にも相当大きな舵取りだったと想像される。
話を戻す。
守備はアンカー阿部を配置したシステム変更でかなり安定していた。
またサイドバックも、親善試合の韓国戦から今野を起用し、
攻撃よりも守備に力点を置くようになって、守備の安定に寄与した。
そして実際的な守備力の強化よりも、もっと大きかったのは、
戦い方が整理され、チームとして統一されたことだ。
もう少し言うと、監督が迷いを消してそれまでの
(攻撃的と呼ぶにはイマイチはっきりこうと呼べるものがない)中途半端な戦いぶりから開放され、
全体としてまず守備ありき、攻撃はほぼサイドからのクロスと本田の強さと技術頼み
という形に整理されたことだ。
岡田監督得意の現実路線である。
後半半ば以降の集中した守りも、当初から大枠が決まっていたからこそ
全員がブレずに最後まで粘り強く耐えることができたのだと言える。
(当初から大枠が決まっていたことの証左としては、ボールを奪ったあとのプレーが挙げられる。
試合を通してかなりの場面でボールを大きく蹴るだけのプレーが目立った。
ポゼッション、低い位置からボールを保持して攻撃につなげるプレーは
ある程度放棄していたということだ)
だが、上記のようであれば当然のことながら、
攻撃(狭義の内容)は観るべきところがないということになる。
攻撃のポイントとして取り沙汰されるクロスについても、
クロスはGKとDFの間。早いタイミングでどんどん放り込めという指示があった割には(そこそこいいクロスも上がってはいたが)、
asahi.com「ニッポン進化の予感 堅守と弱点突いた攻撃」
”場所だけアーリー”が多かった。
要は早いタイミングでもなんでもない、DFが待ち構えている状態での
上げる位置だけがアーリー性のクロスが多く、言う程効果的には見えなかったということ。
というわけで、結果は良かったが、(狭義の)内容はダメということになる。
(しつこく”狭義の”と書いているのは、攻撃の質だけが試合の内容ではないから。当然だけど)
しかしまあ、突貫工事的なシステム変更がよく間に合ったものだ。
アンカー阿部の守備力と器用さ、1トップ本田の強さと技術、
という個の能力の高さがなければ実現しない工事である。
開幕前は期待値ゼロだった日本代表だけど、次戦オランダ戦が少しだけ楽しみになってきた。