一強 [ 女子サッカー ]
なでしこスーパーカップ2007 べレーザ対TASAKIは2-0でべレーザが覇者に。
実力差を見せつける、べレーザの完勝。
えらい強風の中、駒沢で開催されたなでしこスーパーカップ。
コンビニ弁当のふたを飛ばされたり、チップスターを缶ごと吹き飛ばされて中身をぶちまけたりと
観客も風と戦わざるを得ないほどの強い風。
やはりキック力に劣る女子は、序盤の趨勢に風の影響を大きく受けた。
コイントスで風上を取ったべレーザは、強風をバックにかさにかかって攻め立てる。
対する風下のTASAKIは風に押し戻されるゴールキックを保持できず
そのまま逆襲につなげられたり、直接タッチラインを割ること多数。
TASAKIはバイタルエリアでのプレッシャーが弱く、
ひとつ下がった荒川や澤が前を向いてボールを持てる。
そこからTASAKIのDFラインの裏へ効果的なパスが何本も出てくる。
男子と比較して女子はひとりひとりのカバー出来る守備範囲が狭いため、
DFを4枚並べてもピッチの横幅半分くらいしか埋められない。
必然的にボールサイドの反対側は大きく空くことになる。
それを利用しない手はないと、攻撃時にべレーザは4-2-4とでも言うべき布陣になっていて、
前線の中2人が澤と荒川、左ウイングが大野で右ウイングが小林。
べレーザの左寄りからサイドチェンジ気味に右サイド奥深くに風に乗せて通すパスによって
TASAKIのDFラインがガーっと下げられるというシーンが続出した。
この、やや長めのボールを多用して天の利を有効活用したり
相手の弱点を鋭く突くあたり、べレーザは戦い方がうまい。
加えて、選手同士の連動した動きがきれい。
前線中央で大野、荒川、澤の3人が円を描くようにパスを引き出す動きを見せ、
その大外を小林が駆け上がった時は感嘆の声を上げてしまった。
はっきり言って、選手間の連動という部分では東京よりべレーザの方が上である。
勢いに乗って前半でべレーザは2点を挙げて後半へ突入。
風上に立ったTASAKIの盛り返しに期待したが、意外にもべレーザの優勢は変わらなかった。
相変わらずプレッシャーの弱いバイタルエリアと両サイド裏のスペースを使ってボールを支配。
TASAKIはべレーザのように風を味方に付けることが出来なかった。
選手個々で見ると小林の動きがキレていて、
かつて女子代表で活躍していた時より良いのでは、と思うほど。
何度も右サイド深くに侵入したが、裏へ走る時のパスの出し手とのタイミングもばっちりでほれぼれする。
そして、べレーザの選手はおしなべてうまい。
TASAKIよりも選手全体のレベルが一段上だ。
さすが代表に何人もの選手を送り込んでいるだけはある。
TASAKIの大谷は調子が悪かったのか、全く良いところがなかった。
メキシコホームのW杯プレーオフではさすが、と思わせるプレーを見せていただけに、少し残念である。
というわけでべレーザの完勝に終わったスーパーカップだが、今日の様子を見る限り、
べレーザが頭一つ抜けているのではないだろうか。
TASAKIは守備の要の磯崎が世界選抜対中国選抜戦に出場して不在だったが、
代表を多く抱えるべレーザもチームとしてのブラッシュアップに苦慮し、
シーズンインから疲労が懸念される苦しい事情があるわけで。
前半に風上だったべレーザが有利だったことは確かだが、
それだけではないことは後半に証明されている。
べレーザの独走を許さないために、3強のうちの残る浦和にがんばってもらわないと。