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鏡 [ その他サッカー ]

サポティスタで再三に渡って紹介されているperfumeというテクノポップグループがいる。
サッカーとは全く無縁にも関わらず、あまりにも何度も登場するので一体どんなもんかいねと思い、
この間ついに聴いてみた。

なるほど、確かにいい。
ただ、サポティスタからリンクを張られたperfumeについて語られる言説の多くが
アイドルとかアーティストとか、そんなカテゴライズとは無縁な越境者なのだ、
ということを力説していて、それがとても奇異に思えた。

元来アイドルなどという存在に疎いおじさん(私のことだ)にしてみれば、
perfumeがアイドルかどうかとは全く関係なく、
優れた音楽発信源のひとつであるという以上の何者でもない。
仮にアイドルとアーティストとの越境者だったとして、
異なるジャンルの越境者など歴史を見渡せばたくさんいるし。

それなのに、perfumeがここまでやって来れて、売れ始めたことを
奇跡とまで言う人もいる。あり得ないとか。
何故そこまで、と思うくらいのすごい言われようだが、
どうやらアイドル性と音楽性の高さとが両立しないというアイドル/音楽業界の事情があるらしい。
Hang Reviewers Highから引用の引用になるが、

大半の女性アイドル歌手には、「どうせ誰も本気で歌なんか聴きゃしないんだから、この程度で十分でしょ」と言わんばかりの、やっつけ丸出しの曲しか与えられないのが、今も常識です。そして、これはさらに情けない話、実際のところ曲の良し悪しよりも、「握手会参加券封入」とかの方が、遙かに売り上げに結果を残すことが多いのも事実
ということなのだ。

商業主義。
作品としての中身を度外視して表層的なものの価値のみで売ろうとする、私が最も忌み嫌っていることだ
(どこに価値を見出すかは人によるので、これはあくまで私個人の考え方である。
ただし、作り手が商業主義に陥っていて、そして受け取り手がそれを甘受していると、
遠からずその分野はスポイルされる。
たいていはそれで完全に廃れてしまうということはなく、反動としての再生が始まるが)。

ここまで考えを進めて来てふと気付いた。
ことあるごとに”内容至上主義”(注)などという言葉を使って声高にサッカーの内容の重要性を叫び、
プロフィールにもその旨を宣言している自分に。
サッカーにおいて勝ちさえすればいい勝利至上主義がまかり通っている現状を憂いている自分に。

そう、何のことはない。
私は、アイドルの(”内容”としての)音楽性が軽視されているアイドル/音楽業界を憂いている
(そしてついにそれを両立させるグループperfumeが登場して狂喜する)
ファンと同じ穴の狢だったのだ。

ともすればプロであるということを免罪符に
内容を追求することが軽視されがちなプロサッカー界を憂える私は
鏡に映る自分の所作を見て、あいつ何やってんだろう?と不思議がっていただけだったのだ。

音楽をやる以上、その内容(音楽性)で評価されるべきなのは当然である。
それは、文学だろうと映画だろうと絵画だろうとゲームだろうと何だろうと同じだ。
そしてまた、プロサッカーでも同じである。

誤解のないよう念のため書き添えておくが、プロである以上勝利を目指すのは当然である。
ミュージシャンで言えば、売れるために努力するのは当たり前である。
そうしたことを前提として当然踏まえていない限りプロとして成立しない。

だから、プロは勝ってナンボなどと低次元なことを言われても困惑するばかりだ。
そんなことは前提として消化しておくべきことだからだ。
前提条件を俎上に上げられたってどうしようもない。

議論すべきなのは、プロとして目指すべきなのは、その上のレベルである。
上のレベルを目指さない分野は必ずジリ貧になる。
サッカーファンが増え、競技人口が増え、土台が大きくなることでピラミッドの頂点が高くなる
そうした発展をしていくためには、勝ちさえすればいいなどといった貧困な発想で果たして可能か。
不可能である。

だから私はまたしても声高に叫ぶ。
たまに出現する"Perfume"に狂喜する貧困な状況を脱するために。


(注)
ここで言う”内容”とは(既に当ブログでは何度か書いているが)
選手の頑張りと、サッカーの質の高さを指す。
選手の頑張りというのはやや抽象的だが、勝利を目指して必死になる姿や、
質の高いサッカーを目指して奮闘する姿勢を言っている。
強い意志の元に行われる不断の努力はそれだけで感動を呼ぶ。
だから広義の”内容”に含めている。
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