船出 [ FC東京 ]
昨日の記事でフロントの考えを現象面から推測したが、では原監督の考えはどうか。
こちらは「ホセの極楽フットボール」での対談を元に、実際に原監督の口から語られた言葉によって構成する。
原監督が再三強調しているのが、東京は変わらなければ、チャレンジしなければならない、ということ。
引用すると、
クラブは今そのあり方を問われており、クラブ自身も変わろうとしている。こんな感じである。
頑張るチーム、大物食いをするチームとして安住するつもりなら、私を呼んでいないだろう。
チャレンジするしかない。
今までのいかにも東京的な、頑張るだけではダメで、
これからは結果を追い求めて行かなければならない、という趣旨である。
浦和のようなビッグクラブがJリーグに現れ始めている現状にも言及し、
その中での東京の立ち位置も、当然変わって行く必要があることにも触れている。
その一つの現れが、選手獲得方針である。
前回の任期におけるコンセプトは主に、
基本はあまりお金をかけない。若手を伸ばす。で、あまりフロントに要求もしなかったが、今回は
下部組織からの昇格
J2で目立たないけど能力のありそうな選手(茂庭、加地、今野)
J1で出場機会に恵まれない選手(石川)
現実的な、勝つための補強。若手への好影響も期待する(阿部)であるとし、要望を出していると言う。
これからは結果を重視していく姿勢を明確に打ち出している。
このように結果追求を明確にした原監督だが、
結果至上ではない、原監督らしい面ものぞかせている。
サッカーの内容について、
何か売りがないと。そこそこではダメだと思う。というこだわりを見せ、それは
あそこ観に行けば、何かあるというサッカーをやる。
自分達から殴り(攻撃)に行く。と言って攻撃サッカーというスタイルであることを表明している。
そういうチームのスタイルも大事だと思う。
そしてまた、戦う姿勢も大事だと強調した。
勝つ時もあれば負ける時もあるけど、少なくとも90分は戦う。やはり原監督だ。
負ける試合もある、だけど下向かないで最後まで戦う、そういう姿勢を見せないと。
結果追求と言ったって、ただ勝ちゃいいってもんじゃない、
観客がどう見るかを強く意識した発言である。
自分から攻撃的に、そしてあきらめずに最後まで戦うというキーワードは、
4年間で私たちが見てきた原監督のものそのままである。
これらのキーワードは原監督の根底に流れているもので、
今回の復帰に伴って、結果追求というキーワードが新たに加わった
(あるいは比重が増した)と考えるべきだろう。
最後の方で少しだけ、将来的なクラブのあり方にも触れている。
下部組織からの生え抜きが半分くらい、外部から獲得する選手は、外国人はビッグネーム、日本人選手もスーパースターというバランスにしてくことが、バルセロナじゃないけど、一番好かれるチームになる。ビッグクラブでも、レアル型ではなくバルセロナ型を目指す、それが理想形のようだ。
もちろん東京プロビンチャではない。
対談を聞く限り、フロントとの意識合わせはかなり行われている印象を受ける。
フロントの考えは現象から導いた私の憶測に過ぎないわけだが。
2007年の転換点に東京は立ち、船の舵取りは原監督に任せられた。
これから船は嵐に揉まれることもあるだろう、座礁の危険に曝されるかも知れない。
あわや転覆という状況に追い込まれる可能性だって当然ある。
だがいつの日か新大陸に上陸して新たな地平を発見し、
そして世界の頂点に立つための航海に今、東京は滑り出したのだ。
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