名波の嘆き [ 日本代表 ]
名波浩責任編集「World Cup 日本代表スペシャル(ストライカーDX特別編集)」を読んだ。
名波が日本のグループリーグ3戦を、それぞれ最初に守備について、それから攻撃の順番で分析している。
W杯に初出場した日本代表としてフランス98を戦い、
3戦全敗で終えた彼の目に今大会の日本代表はどう映ったのだろうか。
3試合個別の分析となっており、日本の今W杯における総括的な評価に関する記述はない。
だが、3試合目のブラジル戦の攻撃に関する項の最後に、すなわち締めくくりのような場所に次の文言がある。
日本の戦いが終わり、これから次の監督を考えなければならない。誰がなるのかわからないけれど、日本代表には組織を重視する監督が必要だということが、今回改めてはっきりしたと思う。その理由については、この「World Cup 日本代表スペシャル」のマッチレポート中で再三にわたって、
局面を打開出来るだけの個人能力がないから、と書かれている。
加茂、岡田監督時代の日本代表の10番を背負い、中長距離の美麗なパスで攻撃を操った名波。
当時の日本代表において、突出した”個”だった彼から発せられた”組織重視”という言葉は私には意外だった。
しかし名波はこうも書いている。
日本には個人で打開できる選手はいない。でも逆に人数をかけてよさを引き出す術を知っている。つまり、個人能力を引き出す土台としての組織作りが必要であるということだろう。
名波はフランス98が終わった後のインタビューで、中田、山口と3人で形成した中盤は最高だった、と語っている。
言い換えればあれが精一杯だったとも取れる。
だが今大会に関しては。
私が行間から感じた印象では、土台さえしっかり作っていれば、
もっといい内容、いい結果を残すことが可能だったのにそれが出来なかった。
そんな名波の嘆きが感じられる。
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