ベクトル [ 日本代表 ]
2度追いつく展開となったコンフェデ杯ドイツ2005第3戦ブラジル戦。
記事を書くにあたって何とかまとめようと思い悩んでいたが、いつものように簡潔にまとめることが出来ない。
私はこれまで、結果至上主義で志の低い日本代表を批判してきたが、
ギリシャ戦で豹変する姿を見て驚いた。
そして期待を胸に臨んだブラジル戦、
私の目には一言で批判も出来ないし賞賛も出来ない日本代表がそこにいた。
試合開始当初、加地の疑惑のオフサイドゴールに象徴されるように、アグレッシブな入り方をした日本。
今までの親善試合やアジアカップ、W杯アジア予選を思い起こしても、
(4バックのサイドバックよりも高い位置にいる3バックの)ウイングバックがスルーパスに抜け出して
決定的チャンスをつかむ場面があっただろうか。
つまり、それだけ前からの意識が高まっていたということだ。
だがブラジルの早くて正確なパスに翻弄され、日本は段々前からのプレッシャーをかけられなくなる。
この辺り、奪えないとチーム全体で判断した上であえて引いて守る形に変更したのか、
それとも積極性を殺がれて下がってしまったのか。
私には、これまでずっと消極的な戦い方を続けてきたがために、
せっかくいい入り方をしたのに、いとも簡単に積極性が失われてしまったようにも感じられた。
元々が批判的な私はどうしてもマイナス方向に見がちなのだが、実際のところはどうなのだろう。
そんな中で生まれた中村のスーパーゴール。
まさにゴラッソ。
世界級のプレーだったが、その5分後にあっさりと突き放される。
気を付けるべき時間帯とわかっていながらやられる。
ブラジルにしてみれば、同点に追いついて勢いに乗る相手の出鼻を挫く
最も有効な時間帯にきっちり得点をしてみせる。
世界との壁を感じた瞬間だった。
それでも終了間際に追い上げ、あわや逆転のシーンも作り出した日本。
世界との壁を打ち破る可能性を感じさせた。
いまいちまとめ切れないのは、湯浅健二の言葉を借りれば、
”日本代表が展開しているサッカーベクトル方向の舵”がどっちの方向を向いているのか判断がつかないからだ。
メキシコ戦では明らかにマイナス。
ギリシャ戦は間違いなくプラス。
ブラジル戦は”?”。
ギリシャ戦で見えたプラス方向のベクトルが、ブラジル戦で確信に到ることを期待していたが、
そうはならなかったために判断を留保せざるを得なくなってしまった。
非常に据わりが悪い。
本大会で戦う強豪国威相手に果敢に挑むスタイルに脱皮するのか、
それとも結果重視のリスク回避スタイルを継続するのか。
ここまで書いてきてふと気付いたが、
そもそも目指す方向性がよくわからんという状態がよろしくないんだよな。