相手はUCL [ その他サッカー ]
日本の(というより日本サッカー協会とトヨタ、そして日本テレビの、か)悲願だった
クラブワールドカップの開催国枠が認められた。
どうやら、最初にオセアニア代表と開催国クラブが戦う(逆シードとでも言うべきか)
木村浩嗣が望んでいた対戦形式になりそうだ(ホーム&アウェイではないが)。
まぁこの”純然たる商業主義”によって大会は盛り上がるだろう。
だが、木村も含めてクラブワールドカップに関する言説の中で常に言われているのだが、
私は同意しないことがひとつある。
それは、回数を重ねて行く毎に大会権威が上がって行くという論だ。
私がこれに同意しない理由は、末期のトヨタカップ観戦という実体験に負う所が大きい。
2001年に行われた第22回トヨタカップ バイエルン ミュンヘン対ボカ ジュニアーズの一戦である。
リンク先のコラムで戸塚啓も酷評しているが、彼が触れていない面、
それが試合をつまらなくした最大の原因である。
トヨタカップをつまらなくした最大の原因とは、単純明快、欧州代表にやる気がない、ということである。
欧州代表にしてみれば、ヨーロッパチャンピオンがすなわちワールドチャンピオンなのだ。
はるばるアジアの辺境までやって来て、あらためてトヨタカップなぞを戦う必要はない。
彼らの中ではUEFAチャンピオンズリーグで完結しているのだ。
やる気のなさはプレーぶりを観れば一目瞭然である。
それでも南米チャンピオンの方はモチベーションが高いから、
結果としてそれなりの試合になるのが末期トヨタカップでは常態化していたが、
この試合ではボカが退場者を出してしまった。
しかも前半のうちに。
それからの観戦はもはや苦痛でしかなかった。
最大の得点源を失ったボカは消極的なプレーに堕し、
元よりバイエルンはコンディション最悪な上にモチベーションは下がりきっているから、
いい試合など望むべくもない。
12月の寒風吹きすさぶ中(しかもナイトゲーム!)延長に突入した時には、
心底勘弁してくれと思ったものだ。
この試合では南米代表に退場者が出たため、極端に問題があらわになったが、
トヨタカップにしても、クラブワールドカップにしても、大会権威の上昇を阻害する要因は同じ、
UEFAチャンピオンズリーグである。
それはトヨタカップの権威がチャンピオンズリーグの隆盛と反比例して下降してきた事実を見れば明らかだ。
現在のようにチャンピオンズリーグが世界最高の大会として君臨する以上、
クラブワールドカップの権威が末期トヨタカップよりも上がることはあり得ない。
欧州サッカー全体の凋落という、世界のサッカー勢力図の大転換が起きない限り。
もちろん絶対に起きないとは言えない。
だが、何十年先になるかわからない、その程度のレベルの話である。
回数を重ねる毎に大会権威の上昇を期待するのは、現実を直視しない楽観論にしか思えない。