モチベーター [ その他サッカー ]
開運!?スポよた堂のJ ナビスコ杯そしてからもう一つ。
ドトールの話で選手の緊張を解く原監督の話が載っているが
原監督は意外に選手のモチベーションコントロールが上手なのかも知れない。
監督に必要な資質として、大きく分けると2つあると思う。
戦術家としての資質と、モチベーターとしての資質と。
いいサッカー、いい成績を残すにはこの双方が必要であり、
多くの監督はレベルの差こそあれ、両方を兼ね備えているとは思うが
この監督は戦術家、この監督はモチベーターと分類すると話が早いことが多い。
戦術家としてわかりやすい例はアリーゴ・サッキだろう。
自宅で日がな一日ビデオを見て戦術分析をするという、戦術オタクとしても知られるサッキ。
ACミランでそれまで誰も実践したことのない戦術を浸透させ、
内容的にも、成績でも高いものを残した。
単なる戦術オタクというだけでは、プロのサッカー選手に戦術指導をして
試合の中で実践出来る域にまで完成度を高めることは出来ない。
一人一人の人間が、どう指導すればどう動くのかを高いレベルで把握していなければ難しい。
御題目は高尚でも、民衆が理解できるようにブレイクダウン出来なくては意味がないのだ。
週刊サッカーマガジン11月13日号に掲載された岡田監督のジーコインタビューによって、
現在の日本代表のサッカーがジーコの理想
(本当に得点が取れて美しいのは、シンプルに、2本から3本のパスでシュートまで行く形)
からほど遠いものであることがわかったわけだが、これには驚いた。
ピッチ上の現象はもちろん、報道されるジーコや選手の言動から
現在の姿が理想型とは行かないまでも、それにかなり近い形であると思っていたからだ。
恐ろしいのは、自分の考えていることを実践させる具体的指導どころか
我々サポーターや、マスコミ、そして肝心の選手に到るまで、
ジーコが考える理想をイメージとしても伝えることがまるで出来ていないということだ。
さて、話を戻して今度はモチベーターとしてわかりやすい例。
私はファーガソンを挙げる。
岡田監督によれば、一つのチームでマンネリ化せずに指導できるのは3年が限度ということだが
18年間の任期の間に、リーグ優勝8回(13回)、FAカップ優勝5回(11回)、
リーグカップ優勝1回(1回)、チャンピオンズリーグ優勝1回(2回) ※
※カッコ内はマンチェスター・ユナイテッドとしての通算優勝回数
という驚異的な成績を残すことが出来るのは、単なる戦術家には到底成し得ないと考えるからである。
他の民族と比較して闘争心というものが強くない日本人は、モチベーションコントロールと言うと
選手の闘争心を如何にかき立てるかだと思ってしまうが、
元々闘争心には事欠かないヨーロッパ系の人種に対しては、
高まり過ぎる闘争心を沈静化して冷静にさせるクールダウンも普通に行われる。
要は選手の精神状態を自在に操れるのが優秀なモチベーターなわけだが、
これは考えようによっては怖いことかも知れないと思ったりもする。
原監督と言うと、「スペインサッカーが好き」とか「4バックが好き」とかいう言動から、
見よう見まねで戦術を指導している印象がある。
だが決勝の、監督としてもプレッシャーのかかる場面で、たった一言で選手の緊張を解いた。
モチベーションアップではないからクールダウンの部類に入るのかと思うが、
モチベーター原としての側面を見られたのはとても意外だった。
単なる天然の可能性も捨てきれないのが微妙だが。