パスレシーバーを育てろ [ 日本代表 ]
そこかしこで中田不要論が囁かれている。
私は2000年のアジアカップが終わった段階で、本質的には違うが似たようなことを感じていた。
それは、
格下相手なら、中田よりも森島が入った方がいいサッカーができる。
というものである。
アジアカップレバノン2000の代表には、シドニーオリンピックに出場した中田を
続けて召集することが出来ず、森島が中田不在の穴を埋める形で2トップの下に入っていた。
この時の森島の役割は、もちろんパサーではなくシャドーストライカー。
パサーとしては、鬼神の働きで大会MVPを獲得したボランチ名波、そして中村が左サイドにいた。
名波、中村という優れたパサーがいれば、必要なのはパスレシーバーである。
しかも森島のような稀代のパスレシーバーであれば言うことはない。
スペースを見つけてタイミングよく飛び込む天才である森島というプレーヤーを得て、
日本の攻撃は活性化し、ここ10年でのベストパフォーマンスと呼べる
ハイクオリティーなサッカーを披露してアジアの頂点に立った。
しかしその翌年のフランス戦、圧倒的な個力に組織が粉砕され、
1年後に控えた自国開催のW杯におけるノルマという現実の前に方向転換を余儀無くされた。
現在も変わらず同様の問題を抱えているが、日本は”対アジア”と”対世界”の
二通りのサッカーを準備しなくてはならなかった。
そしてこのフランス戦で明らかになった通り、格上との対戦に中田の力は必要不可欠である。
ならば、中田と森島の共存は図れないものか。
2トップの一角に森島が入り、中田がトップ下を務める。
だがこの形は指揮官の構想にはなかったようだ。
テストされる機会はあるにはあったものの、本格的にこの形を構築する気配はなかった。
しかし、W杯本大会でこの形が成功した1戦がある。
20で快勝したチュニジア戦の後半である。
この時、2トップが鈴木と森島、トップ下に中田という布陣だった。
これらの結果を受けて私が考えるのは、「自分が現在の代表チームの足枷になっているのでは」
と中田自身が危惧して現在話題になっている問題とは全く別個に、
日本代表にはパスレシーバーが必要である、ということである。
しかしそこで求められているのが当時の森島並みのパスレシーバーだとすると、かなり難しいかも知れない。
日本代表の攻撃を活性化させ得るのが、世界を見渡してもトップクラスに位置していたであろう
類い稀なるパスレシーバー森島に匹敵するレベルであるなら。