攻撃サッカー [ その他サッカー ]
浦和とのナビ杯決勝前後でよく目にした”攻撃的”あるいは”攻撃サッカー”という言葉。
私の基準から言えば、東京も浦和も”攻撃的”ではない。
このテーマについては以前から文章化しようと考えていたが、
週刊サッカーマガジン11月13日号に掲載の杉山茂樹のコラムの内容を読んで
人によって違うものだなぁという感慨もあって、書くモチベーションが高まった。
杉山は次の3つを「攻撃サッカーを構成する主な要素」として挙げ、
このうち2つを満たしていた決勝での東京は、攻撃サッカーだったと結論している
(杉山に誉められてもあまり嬉しくはないが、それは置いておく)。
曰く、プレッシング、サイドアタック、ボールポゼッションの3つ。
コラム中には”何故か”は書いてない。
何故守備戦術であるプレッシングが攻撃的要素の一つに入るのか。
何故サイドなら攻撃的で、中央は攻撃的でないのか。
よくわからない。
他のコラムでは解説しているのかも知れないが、私は知らない。
私の基準はと言うと、次の2つを満たしている場合である。
1)攻撃にかける人数が多い
2)ポゼッションサッカー
1)の理由は単純。攻撃の裏で生じる守備のリスクを承知の上でなお、
攻撃に人数をかけるリスクチャレンジの姿勢を評価するからである。
2)の理由は、リアクションサッカーは攻撃サッカーとは呼べないと思うからである。
相手の守備体勢が整っていないうちに攻撃を仕掛けるのではなく、
自分たちの攻撃によって相手の体制を崩すことが出来て初めて、
我々のサッカーは攻撃サッカーであると胸を張れると思う。
ただし、浦和のように攻撃をFWに任せている場合、
いくら破壊力があったとしてもリスクを冒していないために、攻撃サッカーとは呼べない。
またここで”リアクションサッカー”という言葉を使ったのは、”カウンターサッカー”だと
深いライン、ロングボール一発、FW頼むぞサッカーというイメージが強いためだ。
東京のような浅いライン、前線からのプレッシャー、高い位置でのプレッシングによるボール奪取、
素早いサイドへの展開、クロスボールサッカーは、アグレッシブであるという意味において
いわゆる一般的イメージのカウンターサッカーではないが、
相手の守備体勢が整っていないうちに攻撃を仕掛けるという意味において
リアクションサッカーには違いない。
リアクションの反対語はアクションだが、アクションサッカーという言葉は一般的ではないので
意味的にはポゼッションがふさわしいだろう。
整理すると、東京は2)の条件を満たしていないことで、
浦和は1)の条件を満たしていないことで、攻撃サッカーとは呼べないということになる。
(参考湯浅健二のナビ決勝戦評)
1)と2)の条件を二つともコンスタントに満たしていたのは、私の知る限り全盛期の磐田だけだ。
しかしこれははっきり言って至難の業だ。
磐田は賞賛に値するが、そこまで行かずとも、いいサッカーはある。
ただし私に言わせれば、リスクを冒さないポゼッションほどつまらないサッカーはない。
現在の日本代表のような。
つまり2)だけではダメだということ。
ポゼッションではなくとも、アグレッシブなボール奪取から、
両サイドバックやボランチが攻撃に頻繁に顔を出すリアクションサッカーが好きだったりする。
これはあくまで私の好みだけれど。