言葉と、言葉以外のものを求めて [ その他サッカー ]
このチームとこの街は、まだ13歳だった僕を受け入れてくれ、サッカー選手になるという大きな夢を育ませてくれた。今、その場所を後にするにあたって、この数年間僕を成長させてくれたクラブのスタッフ、監督たち、チームメイトのみんな、サポーター全員に感謝したい。フィオレンティーナは伝統のあるクラブで、輝かしい将来を築こうとしている。移籍することで、そこでの挑戦のチャンスを得ることができる。でも、レッチェとそのサポーターのことは決して忘れないだろうレッチェからフィオレンティーナへ移籍するブルガリア代表FWボイノフの、レッチェに対する感謝の言葉。
いいなぁ。
日本の選手もこんな胸に迫る言葉を残して欲しいよ。
基本的にテキスト人間である私は、
そうであるがゆえに”言葉(動的なテキスト)を超えるもの”を体感することを強く欲しているが
と同時にやはり言葉そのものも好きだ。
だから私は、ブログでテキストを綴り、スタジアムで声を嗄らし、
サッカーの中に言葉を超越するものを見出そうとする。
そしてまたそこで感じたものを何とか言葉で言い表そうとし、
そのものずばり、言葉を超越するものの体現者であるスポーツ選手の口から語られる言葉を拾い集める。
言葉と、言葉以外のものを求めて。
世界最大の弱小国の早熟のゴールキーパー [ その他サッカー ]
カザフスタンを「世界最大の弱小国」と評する宇都宮徹壱。
FIFAランキング149位、1,500万人の人口、272万5000平方キロ(日本の約7倍)の国土。
欧州でカザフスタンの下にいるのは、リヒテンシュタイン(144位)とルクセンブルク(155位)、そしてサンマリノ(165位)のみ。人口が2万8000人から45万人という、いずれもミニステートばかりである。なるほど、うなずける。
五輪予選やアジアカップで日本を苦しめたバーレーン(50位、69万人、709平方キロ(奄美大島とほぼ同じ))、
そしてヨルダン(40位、548万人、9.8万平方キロ(日本の1/4))と比べてみると余計際立つ。
だが、宇都宮のコラム中にもあるように、
フランス大会最終予選時のカザフスタンの印象は、そんなものではなかった。
それが、W杯予選とアウェイでの親善試合というモチベーションの差によるものなのか、
カザフのレベル低下によるものなのかまでは言及されていない。
ぜひ知りたいところだが、そこまで判断できる材料がないのだろう。
ところで、カザフスタン代表と言ってW杯予選よりも印象に残っているのが、
シドニーオリンピック最終予選におけるカザフスタン代表GK、ダビド・ロリヤである。
当時若干17才にも関わらず、U22の代表で正キーパーだったロリヤは
日本戦2試合でスーパーセーブを連発、その後のW杯予選などで日本と対戦する時に
大きな壁となって立ちはだかるであろう末恐ろしさを感じさせた。
そのロリヤも今年で24才。
今回の来日メンバーに入っていなかったのは非常に残念だった。
当時のロリヤを思い浮かべれば、昨日のカザフにはもったいない気もするが。
彼はその後どうしているのだろう。
W杯欧州地区予選で列強を前にゴールを死守するロリヤの勇姿が見られる日を
密かに楽しみにしている。
付記
本記事を書いている途中で、2001年にUEFA加盟する直前に大阪で行われた
第3回東アジア大会(東アジア地区のオリンピック)に
ロリヤがカザフスタン代表として来日していたことを知った。
シドニー五輪予選の2年後である。
日本が大学選抜チームで臨んだことからも、おそらく年代別代表であろうと思われる。
ちなみに、日本の大学選抜チームには、現在J1で活躍する坪井、平川(浦和)、
羽生(市原)、深井(鹿島)らがいて、優勝を果たしている。
三方一両以上の損 [ その他サッカー ]
中田浩二の移籍問題は、Jリーグのローカルルールと国際ルールの齟齬に加えて
契約更新に絡むタイミングの悪さが生んだ悲劇だった。
鹿島側から見れば、期待していた4〜5億円の移籍金に対して
2,700万ぽっちしか提示してこなかったマルセイユは、
フリー移籍を前提に交渉を押し進める横暴なクラブに映った。
しかしマルセイユ側にしてみれば、2,700万という金額は、日本の特殊なルールを考慮した上で、
本来なら0円で獲得できる選手に対してあえて提示した移籍金だった。
これは国際ルールからは逸脱した行為であり、その理由についてディウフGMは
「日本のクラブとの関係を悪くしたくなかった」と説明している。
鹿島の牛島社長は移籍決定後に、
マルセイユからの文書には「フリーになる選手」と31日の契約切れを意識した文言もあるなど、正当なクラブ間交渉ではないということを主張していたが、国際ルールに照らせば全く逆である。
フリーになる選手にも関わらず移籍金を提示したのは、
有望な若手の流出という憂き目に遭うクラブへの配慮ということになるからだ。
不運というのは、中田浩二が鹿島の申し出た契約更新に応じなかったことである。
別にフリーになって海外移籍をしやすくするためではなく、
自身の活躍度が更新に値しないと判断してのものだったであろうことは想像がつく。
だが、それが結果的に契約切れという状態を生んでしまった。
鹿島にしてみても、まさかその時点でトルシエがマルセイユの監督に就任し、
さらに中田浩二の獲得を希望することになるだろうとはさすがに予想できない。
強いて言えば、トルシエに限らず海外からのオファーがあった時に備えて
契約を更新するリスクヘッジが出来ていなかったということになるが、
選手本人の希望を汲んだ結果とあっては、それを言うのは酷だ。
今回の移籍で、鹿島は充分な金銭的補償を受けられずに選手が流出し、
マルセイユは国際ルールを振りかざして選手を横取りした横暴なクラブという
イメージが付いてしまい、中田浩二本人は世話になったクラブに
後ろ足で砂をかけるように海外へ去った恩知らずというレッテルが貼られてしまった。
だがそのような状況に至る過程では、それぞれが善意に基づいて行動しており、
決して悪意はなかったであろうと私は思っている。
今後悲劇を繰り返さないようにするどうすればいいかは、簡単なんだけど。
少年のIMPOSSIBLE IS NOTHING. [ その他サッカー ]
カザフ戦のスタジアム内のオーロラビジョンで
adidasのIMPOSSIBLE IS NOTHING.の新シリーズ、FOOTBALL編が流れていた。
このシリーズ、かなり気に入っていて以前にもにリンクを張っていたが、今回のもとても良い出来だ。
最近サッカー以外でTVを見ることがほとんどないので、もうTVで流れているかどうかわからない。
とりあえずadidasのTV CM & Interviewsのページにリンクを。
リンク先のIMPOSSIBLE IS NOTHING.>FOOTBALLをクリックで見られる。
大宮改修 [ その他サッカー ]
J1に昇格した大宮の本拠、さいたま市大宮公園サッカー場は、
今春開始予定の改修工事のため、リーグ5試合だけの使用となることが25日、決まった。
年間5試合って、使うんだJ1であそこを。
市原、大分、広島、セレッソ、ヴェルディかな。
別に大宮サッカー場をけなしてるわけではなく、
いわゆる盛り上がったスタジアムではない”雰囲気”を醸し出す競技場の中では
最も気に入っているスタジアムなのだ。
それがJ1で使われるという違和感、
そして改修によって牧歌的な雰囲気が壊されないかという危惧。
少ない海外旅行経験から言わせてもらうと、日本は古いものを残すのが下手だ。
古いものはどんどん壊して全部新しくしてしまう。
バランスよく古いものも残しつつ、新しくもするということが出来ない。
改修するのは結構だが、大宮サッカー場の雰囲気まで新しくされたら
私たちはまたひとつ、貴重なものを失うことになる。
そこまで大規模な改修ではないかも知れないけど、でも心配せずにはいられない。
ただゴール裏のガタガタしたコンクリ(?)だけは何とかして欲しいけどね。
勝利は付加価値に過ぎない [ その他サッカー ]
録画しておいたリール対マルセイユの試合を観た。
マルセイユが2点を先取し、リールの反撃を
ホームタウンディシジョンぷんぷんのPKによる1点に抑えて勝った試合である。
この試合、マルセイユのマルレが2点に絡む活躍だった。
解説のダバディーが言ってたように、マルレは戦える選手。
おそらくサッカー的なスキル(フィジカルやテクニック)では
2トップの相方リュインドゥラに及ばないだろうが、戦うという点においてはマルレの方が上。
スキル”は”あるリュインドゥラが前半のみで下げられてしまったことからも
トルシエがどちらタイプの選手を重用するかは明らかだが、私もまた同じだ。
変にボールテクニックだけあるサッカーなんて見たくない。
真に人を感動させるのは、見た目の華麗さではなく、
ましてやシステム論や戦術論などを遥かに超えたところにあるものだ。
日本のサポーターも、”勝利こそが全て”なんて青臭いセリフからは卒業したいね。
清涼剤 [ その他サッカー ]
朝セキが出る程度だったのが、だんだん頭痛、微熱、節々の痛みを伴い始めたので
定時に会社を辞した。
帰ってすぐに点けたWOWOWでは、レアルマドリー対サラゴサ(再放送)のハーフタイムに入ったところ。
すると、大久保のデビュー戦試合終了直後の映像が映し出された。
スタジアムから出ようと車の中にいる大久保。
少年が、窓から車の中に上半身を乗り入れてサインをねだっている。
車の周囲には、マジョルカサポーターがフラッグを掲げながら
車の中を覗き込むようにして応援歌を歌っている。
サインを終え、走り出す車。
顔を上気させた大久保が
「夢だよこれは!」
自宅に戻った後も、興奮しているのだろう、饒舌に怪我した時のことを話す大久保。
「ぽっかり穴が開いていたんだよ!」
「ヒザの皿が見えていたんだよ!」
実は替えて欲しいと思っていたこと。
ゴールを決めた後、通訳からの「痛いか?」との問いに「痛い」と答え、
すぐにアップを始めたペレイラが自分と交代するもんだと思っていたら
別の選手と交代してガッカリしたこと。
夢だったスペインでの活躍に、素直に喜びを表す22才の若者がそこにいた。
体調は悪いが、私の気持ちはやけにすがすがしくなった。
海外で活躍する日本の選手は、我々サッカーファンにとって一服の清涼剤。
これからもたくさん処方してくれるよな、大久保。
子供できればまた違う [ その他サッカー ]
大久保いきなりの1得点1アシスト。
西澤が在籍した当時のエスパニョールでMFだった代表経験もあるセルヒオに
「日本にもこんなすごい選手がいるなんて思わなかった」
と言わせるほど。
私は解説の浅野が感激して声に詰まらせている様子に感動してしまった。
同じプレイヤーの視点から見たら、よりいっそうすごいことに感じられるんだろうな。
この鮮烈デビューにより、次戦から大久保へのマークは厳しくなるだろう。
だが、デポルティボ戦を見る限り、
単にマークが厳しくなるだけなら、ある程度の結果を残せるのではないかと思う。
問題は先日も書いたように、マークが厳しくなったことによって生じるストレスを
コントロールして自分のプレーを発揮することが出来るかどうか。
メンタルに持つ自分の弱点をさらけ出さずに、あるいは克服してプレーすることが出来るかどうか。
スペインに行って別人のように成長した大久保を見せて欲しい。
単身赴任じゃなくなればまた違うと思うのだが。