作戦ミス [ 日本代表 ]
なんと1年半振りの更新。
ワールドカップ ロシア 2018 における日本代表の戦いぶりについてである。
大抵のサッカーファン、日本代表サポーターがそうだったろうと推測されるが、
私も大会2ヶ月前での監督解任に大きく失望した一人だ。
しかも解任理由が「コミュニケーション不足」という非常に曖昧な一言。
Jリーグでの成績は優秀だがA代表監督経験も、当然ながらワールドカップ出場経験もない監督が
後任となれば、期待しろと言う方が無理な話だ。
大会前最後の親善試合パラグアイ戦で、これなら行けそうという選手の組み合わせを
たまたま見つけられたことが全てだろう。それがなければ目も当てられない結果に
なっていたに違いない。そういう意味で岡田監督時代のワールドカップ 南アフリカ 2010と
非常に状況が似ている。
本大会では試合開始早々に相手に退場者が出るなど幸運にも恵まれ、もちろん選手一人ひとりの
頑張りがあってのことだが、日本代表は2戦を終えて1勝1分と予想を大きく覆す好成績だった。
そして臨んだ本題の第3戦、ポーランド戦である。
巷で取りざたされている最後の10分間のボール回しはよくあることではないにせよ、
さして珍しいものでもない。実際今年の4月に行われた女子ワールドカップ予選を兼ねた
女子アジアカップ ヨルダン 2018で、なでしこジャパンがオーストラリア相手に
試合終了までの7、8分間延々とボール回ししている。
ただし忘れてならないのは、なでしこジャパンの場合、他会場の結果によらず自分達
(日本もオーストラリアも)が引き分ければワールドカップ出場権を得られたのに対し、
今回のロシアでの日本代表は、セネガルが得点したら終わりである。
自分達でコントロール不能な何かに命運を預けるのは、絶対の勝利(グループリーグ突破)が
求められる場においてこれ以上ない愚策だと私は思う。
しかしこの試合の本当の問題はそこではない。
あの動きの悪く、集中力も欠いたポーランド相手に得点しようとしなかったことが最大の問題だ。
ポーランドは立ち上がりから運動量は少なく、ピンチに直結するようなミスを多発していた。
一例を挙げると相手DFラインから少し落ちてバイタルエリアで縦パスを受けた武藤に対し
何のプレッシャーもかけていなかったり、パスミスでボールを渡したりしている。
ワールドカップのような勝負の場では普通あり得ないプレイだ。
こんなポーランドに日本もお付き合いするようにスローに試合に入り、試合を通して
一度もラッシュをかけることなくスローペースを保ったまま終えた。
気温が高かったこともあり、前半は様子見で後半に勝負をかける方法もあったと思うが、
そういう動きを一切見せなかった。
相手に退場者が出たり、グループ内世界ランキング最高位のポーランドが不調だったりと
この千載一遇のチャンスを生かすには、先制点が必要だった。
グループリーグ自力突破には引き分け以上が必要であり、セットプレイや、
それこそキーパーのパンチングミス等の事故で失点する可能性を考慮すれば、
日本はグループリーグ突破のためにまず1点取っておく必要があった。
しかし日本はそうしなかった。あれだけ付け入る隙のある相手に徹底して終始スローペースを
保ったということは、それが日本の作戦だったと推測する以外にないと思う。
そしてこの作戦はセットプレイからの失点という形で失敗に終わる。
この作戦ミスこそが、試合最終盤において苦しい決断を迫られることになった最大の原因であり、
この試合最大の問題点だ。
そこを取り上げずに西野監督を「名監督誕生」などと持ち上げるのは愚の骨頂であると私は思う。