三方一両以上の損 [ その他サッカー ]
中田浩二の移籍問題は、Jリーグのローカルルールと国際ルールの齟齬に加えて
契約更新に絡むタイミングの悪さが生んだ悲劇だった。
鹿島側から見れば、期待していた4〜5億円の移籍金に対して
2,700万ぽっちしか提示してこなかったマルセイユは、
フリー移籍を前提に交渉を押し進める横暴なクラブに映った。
しかしマルセイユ側にしてみれば、2,700万という金額は、日本の特殊なルールを考慮した上で、
本来なら0円で獲得できる選手に対してあえて提示した移籍金だった。
これは国際ルールからは逸脱した行為であり、その理由についてディウフGMは
「日本のクラブとの関係を悪くしたくなかった」と説明している。
鹿島の牛島社長は移籍決定後に、
マルセイユからの文書には「フリーになる選手」と31日の契約切れを意識した文言もあるなど、正当なクラブ間交渉ではないということを主張していたが、国際ルールに照らせば全く逆である。
フリーになる選手にも関わらず移籍金を提示したのは、
有望な若手の流出という憂き目に遭うクラブへの配慮ということになるからだ。
不運というのは、中田浩二が鹿島の申し出た契約更新に応じなかったことである。
別にフリーになって海外移籍をしやすくするためではなく、
自身の活躍度が更新に値しないと判断してのものだったであろうことは想像がつく。
だが、それが結果的に契約切れという状態を生んでしまった。
鹿島にしてみても、まさかその時点でトルシエがマルセイユの監督に就任し、
さらに中田浩二の獲得を希望することになるだろうとはさすがに予想できない。
強いて言えば、トルシエに限らず海外からのオファーがあった時に備えて
契約を更新するリスクヘッジが出来ていなかったということになるが、
選手本人の希望を汲んだ結果とあっては、それを言うのは酷だ。
今回の移籍で、鹿島は充分な金銭的補償を受けられずに選手が流出し、
マルセイユは国際ルールを振りかざして選手を横取りした横暴なクラブという
イメージが付いてしまい、中田浩二本人は世話になったクラブに
後ろ足で砂をかけるように海外へ去った恩知らずというレッテルが貼られてしまった。
だがそのような状況に至る過程では、それぞれが善意に基づいて行動しており、
決して悪意はなかったであろうと私は思っている。
今後悲劇を繰り返さないようにするどうすればいいかは、簡単なんだけど。
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