官軍 [ FC東京 ]
J1第26節 東京対清水は2-0で勝利。
スコアの上からすると快勝だが、私のような趣味趣向の人間からすると、
非常に評価のしにくい試合だった。
シュートは8本。
このうち決定的チャンスが何回あったか。
安定した守備と強力な攻撃陣を備える清水に快勝した試合にしては、内容に乏しい。
先制の場面はクロスのタイミングに集約される。
今日の石川は多少早めのタイミングを心がけて
抜ききらないうちでも上げることを意識しているように見えたが、普段からやって欲しい。
大体にして東京のサイドアタッカーはクロスのタイミングが遅過ぎる。
相手DFが待ち受けているところへクロスを入れる場合、クロス自体の精度はもちろん、
FWの予備動作を含めたポジショニングのうまさ、ヘディングの強さが必要とされる。
相手が戻りきらない早いタイミングでのクロスは、やはり精度は必須だが
FWのうまさ強さは比較的必要とされない。
もちろん中に詰める選手がいることが前提なわけだが、
観ていてここだ!というタイミングで上がるクロスの何と少ないことか。
オウンゴールを誘った石川のクロスはベストタイミングだった。
タイミングを逃したら得点の可能性は半減すると言っても過言ではない(と思う)ので
これからも続けて欲しい。
塩田を含めた守備陣の健闘が光った。
清水で印象的だったのが確実に収めるポストプレーとうまいサイドチェンジ。
逆に言えばつなぐパスの効果をそれほど発揮させなかったということだ。
途中からルーカスは守備の時にはやや下がり目に位置してプレッシャーをかけていた。
相変わらずよくチェイシングをする。
前節横浜FC戦でカウンター時にリチェーリへのパスをミスしたルーカスに向かって
「やる気あんのか!」と叫んでいる人がいたが、
あれだけチームに貢献している選手に対して何故そんな発言が出るのか不思議でならない。
何はともあれ、順位が10位に上がった。
ほとんど恒例の帳尻合わせの季節である。
感情移入 [ 女子サッカー ]
なでしこリーグカップ2007準決勝ベレーザ対INAC、浦和対マリーゼ。
結果は5-0と1-1(PK4-2)でベレーザと浦和が決勝進出を果たした。
結果としては順当といったところ。
試合は埼玉スタジアム2002第3グラウンドで行われた。
リーグカップ自体が急に決まったものだし、いろいろと事情はあるんだろうと察する。
が、ディビジョン1及び2の全16チームが参加するリーグカップベスト4が顔を揃える会場じゃない。
来シーズンでは改善を要望したい。
しかも今日は暑かった。
私がいた場所はフェンスのすぐ傍だったので、張られた横断幕で陰が出来て
第2試合の前半終わり頃には楽になったが、他の人はつらかっただろう。
これは第2試合の話で、第1試合は前後半通じてフライパンで焼かれているかのような暑さである。
選手はホントにお疲れさまだ。
ベレーザとINACはその点差が示す通り。
1失点目がサイドバックのミスからで悔やまれるが。
途中で負傷退場したINACの10番が原歩で驚いた。
代表では一瞬のきらめきのあるプレーを見せる原だが、
INACではうまさは見せるものの、あまり生きていなかったからだ。
まぁ今日は相手が悪いし、調子もあるだろうし。
逆に凄かったのがベレーザの28番。
なでしこリーグのオフィシャルガイドブックには掲載されていない選手である。
近くから漏れ聞こえてきた話によると、まだ中学生14才だそうで。
なんとフォーティーン(!)である。
前半20分くらいだったか、果敢なドリブル突破からDFをかわして右足一閃、
ゴールを急襲したプレーは圧巻だった。
全く末恐ろしい中学生である。
前半は頑張っていたINACだが、後半はほとんどハーフコートゲームに。
というような実力差もあって準決勝第1試合のおもしろさはそれほどでもなかった。
だが第2試合は違った。
個々の選手の能力から言えば明らかに浦和が上。
それもそのはず、マリーゼは昨シーズンディビジョン1最下位で2部落ちしたチームである。
浦和は安藤を筆頭としてFWのスキルが高い上スピードがあり、中盤の構成力も高いため
マリーゼDFを手玉に取るように抜け出す。
あと浦和ではボランチの8番。
派手なテクニックを持っているわけでも、スピードがあるわけでも、運動量が豊富なわけでもない。
体型もアスリートっぽくないが、うまい。
先制点を奪ったのは確かこの選手である。
いきなりガッと前へ出て得点を奪って帰って来る。
おもしろい選手だ。
浦和が作るチャンスの度にマリーゼGKがビッグセーブでこらえる。
このGKファインセーブを連発していて決定機を何度救ったかわからないくらいだが、
その分というか、コワい。
ちょっと無理目でタッチラインを割りそうなボールが出た時、
サイドハーフに向かってドスの効いた声で「追っかけろ!」と叫んだりしていた。
後ろの声は神の声と言うが、マリーゼの神様はえらく迫力のある神様である。
マリーゼはつなごうとするのだが、出しどころに困って結局蹴ってしまう、ということが多い。
しかもDFラインからのパスにミスが多く、リズムを崩す。
その上個として浦和に太刀打ち出来る選手は、14番丸山、21番くらいか。
8番の選手はキャプテンらしくものすごく走っていた。好感の持てる選手だ。
11番の選手も頑張ってたな。
なんとか前へボールを運んでシュートへ、という気迫のこもったプレーが良い。
先制された後、何度かチャンスは作るものの全体としては浦和ペースで
頼みの丸山も交代して攻撃力が半減、その影響か
終了間際になっても怒濤の攻めを見せられるわけでもなく、ちらほらと帰り始める観客も出る中、
今日最大のドラマが待っていた。
この頃になるとギリギリのところで踏ん張って懸命なマリーゼイレブンに感情移入していた。
最初は特に思い入れはなかったのに。
左サイド深く切り込んだ21番の選手がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得したのである。
キッカーも担った21番の選手が決めて同点に追いついた後、
試合再開の笛の直後に後半終了の笛が吹かれるというタイミングでの同点劇だった。
結局マリーゼはPK戦で力尽きたわけだが、私のような一見をも引き付けるひたむきさと
終盤の盛り上がりは本当に楽しかった。
久しぶりにいいものを見た。
薄氷 [ 女子サッカー ]
女子ワールドカップ北京2007 1次リーグ なでしこジャパン対アルゼンチン。
またもや終了間際の得点で1-0と薄氷の勝利。フジテレビの中継を録画で。
解説の川上直子が盛んに「もっと動け」「100%の力で」と言っていた。
確かに動けていない時間もあったけど、いつもより動けていないとは思わない。
アジアレベルで通用する動きの質、量、スピードの、何割増しかを出さないと
世界では通用しないと、そういうことだろう。
前回大会ではチンチンにしてやったアルゼンチンでも。
あれだけがんばっているのを見て、もっと行けと言うのはなかなか難しいね。
終了間際の得点も、執念の賜物だろう。
しかし次のドイツ戦はそうも言ってられない。
これまでガタイの良い強豪との試合では、まずデカさとプレッシャーに負けて
中盤でつなぐことが出来ず、イージーなミスを連発して自滅するケースが多かった。
だからもっと気持ちを強く持って。
勝ち点ではイングランドを上回っているが、情勢は有利ではない。
イングランドはドイツに対して引き分けているから、
得失点差が最小限の日本はドイツに対して勝つ必要が生じる。
次も厳しい戦いが続く。
激震 [ FC東京 ]
自転車にサイクルコンピューターを取り付けてひと月。
走行距離が170kmになった。
平均すると、えー3.7km/dayか。
伸ばすと焼津辺りだね。
この調子で行くぞ!南アフリカまで!!
いや、まずは北京か!?
(もちろん実際に行くのではなく、トータル走行距離の話)
なんてバカなことを書いていたら、目に入ってきたこのニュース。
U22梶山全治3~4カ月で今季絶望
おいおい。
今の五輪代表には梶山は絶対に必要な存在じゃない。
重要な選手ではあるだろうし、秘めたる才能は深淵のよう。
だが、五輪代表での梶山は代替可能だ。
五輪代表の中盤はそれだけ人材が豊富であり、また梶山の良さを生かせていないということでもある。
東京はそうは行かない。
梶山は今や、必要欠くべからざる選手だ。
代わりに誰がボランチに入るんだろうか。
パッと思いつかない。
栗澤か?
横浜FC戦を前に東京を襲った激震。
乗り越えることが出来るだろうか。
サービス満点 [ 年代別代表 ]
国立でのオリンピック北京2008アジア地区最終予選 日本対カタール。
またしても1-0の辛勝である。
変わらんなぁ、このチームは。
今回はバックスタンド寄りのアウェイゴール裏。
国立は、雨も上がったし、五輪予選でも観に行くかって感じで
当日券を買ってきたようなワイシャツ姿のサラリーマンが多かった。
少なくとも私の周辺では(ワイシャツ姿でこそないものの、私も似たようなものである)。
前半40分頃に到着して席を探したが、妙に混んでいる。
何でだろうと見渡したら、カタール応援席が2ブロック分取られていた。
アホか。
20人くらいのサポーターのために、一体なんでそんな広大な面積を。
ベトナムの時には1/3ブロック程度だったわけで、この違いは差別かと。
内容は相変わらず変化に乏しいが、
最小のリードで終盤にハラハラドキドキを演出するサービス精神は旺盛である。
多分この調子でずっと行くんだろうな。
首の皮 [ 女子サッカー ]
女子ワールドカップ北京2007 1次リーグ なでしこジャパン対イングランド。
2-2の引き分け。フジテレビの録画中継で。
勝負に負けて試合に引き分けた。
相手が日本をよく研究してきたのに加え、日本が自分達のサッカーが出来ず、
ミスも多かったために、内容的には負けてもなんら不思議はなかった
(監督や宮間は勝てた試合だったと言っているが)。
相手が研究しているなと感じたのは、
日本ボールの時に高い位置からプレッシャーをかけてパスミスや苦し紛れの横パスを誘うこと、
サイドバックの裏を攻撃の起点にすること、
日本DFラインの裏へ飛び出す時の走るコース取りである。
日本はもう少し選手が動いて短いパスをつなぎたかった。
縦に急ぎ過ぎ、中長距離のパスを多用したためにリズムに乗り切れない。
この辺はピッチコンディションの悪さも影響しただろうか。
マーキングやプレッシングの厳しさはそれほどでもなかったと思うので残念なところだ。
そんな劣勢を跳ね返したのが、まるで反則技のような宮間のFK。
イングランドにしてみれば、試合の内容とは無関係なFKでやられて悔しさ100倍だろう。
日本は内容的には良くなかったが、応援しがいのある試合だった。
次節アルゼンチン戦では、前回大会での同カードのような素晴らしいサッカーを見せて欲しい。
このまま行けるか [ FC東京 ]
J1第24節 東京対神戸は3-1で勝利。
広島戦の大勝の勢いをそのままホームに持ち込んで、
攻撃にも守備にも前への意識が高い内容になった。
神戸が広島ほどつないでくるサッカーではなく、ミドルレンジのパスを用いるので
前からのプレッシングに引っかかってショートカウンターを撃つ場面はあまりなかった。
だが東京は、広島での成功体験で得た自信を胸にアグレッシブな姿勢を崩さなかった。
逆転弾となったルーカスのゴールが素晴らしかった。
赤嶺からの速いパスを絶妙なワンタッチでDFラインの裏へ飛び出し、正確なシュート。
スピードのあるパスで相手に猶予を与えず、その一瞬に炸裂した個人戦術がDFを破った。
もっと観たいねこんなプレーを。
夏の連戦の最後を2連勝で終われたのは大きい。
連敗の泥沼に完全にはまってしまう前に運も重なって脱出。
少し前まで残留ラインすれすれだった順位からも、一歩抜け出た。
この調子で行きたいところだが、A代表と五輪代表の試合が重なるため、ここでいったん中断が入る。
これは東京にとっては痛い。
これまでの様子を見ると、中断期間で何かが改善される期待は持てないし、
逆に構造化されていないだけに、今の勢いを削がれる心配の方が大きいのである。
中断明けの横浜FC戦はアウェイと言えどもホームのようなものだから、
ホームで勝てない病がぶり返したりしてね。
花火は夏の風物詩 [ FC東京 ]
J1第23節 東京対広島は5-0という大勝。
J SPORTSの録画放送で観戦。
キーワードは前からの守備。
パスをつないでくる広島の戦術も相まってこれがハマった。
象徴的だったのが前半4分。
相手CB2人に赤嶺と栗澤がプレッシャーをかけ、ボランチにボールが出たところを
なんと梶山と福西が2人がかりでボールを奪いに行った場面。
暑さも峠を越したんでこれからはガンガン行きますよと、そんな宣言にも見えた。
そして前から守備に行く意識が、攻撃へのアグレッシブな勢いにもつながる。
栗澤や今野といった、運動量の多い選手が中盤に配置されていたことも大きい。
今での試合より、ひとりひとりのボールを持つ時間が短く、
選手が動きながらボールを受けることが格段に多かった。
でも、DFを崩した決定的チャンスは広島の方が多く、東京にはあまりなかった。
どうすれば相手DFを崩せるか、というのが東京にはまだない。
また、これだけ得点が入った理由のひとつに相手GKのヘボさがある。
今時珍しくないか、あのレベルのGKは。
逆にストヤノフはやっぱり欲しかった。
あれだけの攻撃センスを持ったDFは日本人にはいない。
いい試合だった。が、この勢いはおそらく長続きしない。
この試合はいろいろなものがうまくハマった試合だからだ。
(前にも書いたように)ちょっとした条件の違いでまた煮え切らない試合に戻るだろう。