保身が骨抜きにする総括 [ 日本代表 ]
スポナビに宇都宮徹壱記による
第5回フットボールカンファレンス内で発表された「日本代表報告」の概要が掲載されている。
日本代表のワールドカップドイツ2006における結果を受けての
口頭での公式な”総括”ということになる。
川淵解任問題の時に”総括”はテクニカルレポートが出るからいいんじゃないの、と書いたので、
この記事をネタに”総括”に対してコメントを記しておく。
総括とはそもそも何か。
ものすごく簡単に言ってしまえば、事前に設定しておいた目標に対して
出来たこと、出来なかったことを明確にし、その上で今度の方針を定めることだろう。
もう一段階噛み砕くと、
(1)日本サッカー協会の考える日本代表のサッカーを踏まえて代表監督が掲げた目標に対して、
(2)代表監督がどのような指導を行ったか、
(3)そして結果として何が達成出来て、何が達成出来なかったのかを明らかにし、
(4)ワールドカップで現れた世界のサッカーの方向性をにらみつつ、
日本サッカーの修正すべき点、伸ばして行くべき点を打ち出す。
こんな感じだろうか。
上記はそのまま、
(1)Plan
(2)Do
(3)Check
(4)Action
にあてはまる。いわゆるPDCAである。
結局、田嶋の”総括”には(3)C(4)Aはあるが、(1)P(2)Dがない。
それは詰まるところ、代表監督の掲げた目標というのが、協会(技術委員会)の考える方向性と合致していず、
目標達成のために有効な指導などなーんにも出来なかったからだ。
じゃ何故それを赤裸裸に言及しないのか。
まぁ保身だろう。
横車を押して無能監督を就任させた現会長および、
適切な評価を下さなかった技術委員長田嶋の責任逃れ。
ジーコ体制を固めるために川淵会長が断行した技術委員会の刷新が功を奏したわけだ。
”総括”に関して、私の見込みは甘かった。
4年もの間日本代表のサッカーが停滞した最大の原因について
結局うやむやで終わってしまったからだ。
いや、わかってはいるんだが。
失敗を、責任を認めないということは、また繰り返される可能性が残されたということであり、
協会の今後が不安になる。
判断力批判 [ 日本代表 ]
アジア杯予選イエメン対日本は10で勝利。
11時頃帰って来て追っかけ再生で観た。
相変わらず決定力がないとか、仕掛けが少なく不要なパスが多いとかいうことよりも気になったのは、
選手交代によるベンチからのメッセージを選手達が全く理解していなかったことだ。
”なんとか力”という表現をすると、状況判断力ということになる。
気候、日程、そしてピッチの問題によって体力と技術面で制約を受けるのは仕方がない。
しかし、頭を使うことはそれらの悪条件に左右されない。
むしろ、そういう時こそ頭を働かせてマイナス面をカバーすべきだろう。
例えば、ピッチ状態が悪くグラウンダーのパスが通りにくいなら、
いつもよりミドル/ロングレンジのパスを増やすとか、浮き球を意識するとか。
相手守備陣をなかなか崩せない状況に対して攻撃のアイディアがない、あるいは
試合の流れを読む目がないとか、ワンランク上の判断力、戦術眼を指摘しているのではない。
今目の前で起こっていることを判断材料として、自分の取るべき選択肢を決める、それだけのことだ。
最たる例が、佐藤寿人に続いて我那覇を投入して3トップにした場面。
中盤と前線のリンクマン的役割だった羽生と交代して我那覇を入れた意味は。
高さのある巻と我那覇、そしてスルーパスやクロスに合わせて一瞬でDFを振り切るスピードを持ち、
こぼれ球にいち早く反応するなどゴールへの嗅覚を持った佐藤寿人の3トップになったわけだ。
狙いはクロス後の2次攻撃。
中盤でちまちまショートパスつないだりしてる場合じゃない。
即シュートにつながるクロスを供給しなくていいから、ゴールライン際まで突破をかける必要もない。
だが選手たちはすぐに切り替えられない。
結局、シンプルにクロスを上げるようになったのは大熊コーチの指示が出てからだった。
これってそんなに難しい判断だろうか。
サウジアラビア戦では試合終了間際なのにクロス上げずにバックパスした選手もいたっけ。
思わず「バカかお前は!」と叫んでしまったよ。
ユース代表では結構あるんだよね、その場その場の判断力が未熟なことは。
でもA代表ではこの2連戦ほどひどかったことはあまり記憶にない。
頭の働きをにぶらせるほど過酷な条件だったのかも知れないし、
選手はこれから淘汰されて行くんだろうから悲観はしてない。
けど、うーん。
明日のために 走るべし [ 日本代表 ]
間を置かずに明日に迫ったイエメン戦。
しかし酷な日程だなぁ。
次の試合も内容はあまり期待出来ない。
サウジ戦について結構内容的には一定の評価を得ているようだが、
私はあまりよくなかったと思っている。
攻撃時、ボールホルダーの周囲の動きが少ないというのがその理由。
動きが全然なかったわけではない。
悪条件の中、選手はよく頑張っていたと思う。
確かにチャンスは作った。
だがそれは2人目、3人目の動きが同時多発的に発生するサッカーからは遠かった。
それでもチャンスを作れたのは、個人の能力の高さに負うところが大きい。
チーム戦術が機能した結果として作り出したのではないから単発な印象なのだ。
足りないものは絶対的な運動量は言うまでもないが、
チームとしてどう戦うのかという意思統一がまだ行き渡っていいない印象だ。
だから複数の選手の動き出しや、思い切ったフリーランニングが見られない。
今の時期を考えてみれば、
そんなことをうんぬん出来るところまでチーム作りが進んでいるのが逆に驚きではある。
公式戦3試合目だったら、まだ何をやろうとしているのかわからなくても不思議ではない。
明確な方向性、それに従った明快な選手選考、目標を具体化する練習、
これらがそろっているからだ。
まぁでもまだまだこれから。
うっかりするとそれを忘れてしまいそうになるけど。
守備は攻撃への第一歩 [ 日本代表 ]
ボールを取られたら速く守備。攻めているときに失ったら逆にカウンターのチャンスです。日刊の記事からだが、いや、すごいねこの意識改造。
発言者が三都主であることも驚きに拍車をかける。
普通は攻めている時にボールを失ったらイコールピンチだ。
だが今の日本代表はもう1つ考えを押し進めて、それをチャンスだと捉える。
世界的に先進的な考え方と言うわけではない。
だが、この4年間の日本代表の考え方からは180度転換された。
実現するには3つの速さが必要になってくる。
ボールを奪われた時 攻から守への切り替えの速さ
ボールを奪った時 守から攻への切り替えの速さ
カウンターを撃つ時 ボールを運ぶ速さ
ボールを奪った後縦に速くといっても、闇雲にロングボールを出したり
ドリブルを仕掛けるだけでは効果的な攻撃には結びつかない。
スペースを空ける人、DFを引き付ける人、スペースを利用する人、
くさびを受ける人、フォローする人、オーバーラップする人、
たくさんの選手が同時多発的に様々な役割を担って動くこと、それをオシムは求めている。
ジーコ監督時代の代表のように”大人”な省エネサッカーでしのぐつもりは毛頭なさそうだ。
いつかのようにアグレッシブに動くサッカーでサウジを叩きのめす日本代表を私は見たい。
暑さの中でもそれが出来るかどうかと聞かれれば、可能だと思う。
しかし真夏の日本でJリーグ過密日程の最中という条件が加わると、やっぱりあまり期待出来ない。
それが実現出来たら世界でも有数のスーパーなチームだ。
私は伊野波が好きです。 [ 日本代表 ]
日本代表に初選出された伊野波。
東京サポの間では、伊野波選ぶなら徳永じゃないの?とかいう言葉も聞かれている。
先日のセレッソ戦でも、出場停止の徳永の代わりに右SBで先発した伊野波の出来を見て
やっぱ徳永だな、という声が聞こえた。
確かにポテンシャルでは徳永の方が上だろう。
特に身体能力、攻撃能力では(個人的にはそんなに大きな差ではないと思うが)徳永が勝っている。
だが、それでも私は伊野波の方が好きだ。
その理由は、いつでも全力であること。
徳永はヴァレンシアへの移籍話が持ち上がったくらい、その能力の高さは誰もが認めるところだが、
だからだろうか、8割くらいの力でそこそこそつなくこなしている、そんな風に見える時が結構ある。
また、徳永の場合、自分が攻撃参加してカウンターを食らった時、
自分のサイドを突かれているのにタラタラとしか戻らないことが散見される。
伊野波は違う。常に全力だ。
自分の空けたスペースを突かれた時に全力で戻らないなんてことはまずないし、
攻撃参加して飛び出して行く時にも、ボールが来ようが来まいが十中八九全力ダッシュだ。
中でボールを持った選手がサイドに開いている選手にパスを出し、
パスを出した相手の外側をぐるーっと大回りしてオーバーラップする、
他のチームではよく見られるこのプレー、なぜか昔から東京ではあまり見られない。
もちろんサイドバックとサイドハーフという縦の関係でのオーバーラップはよくあるが
例えばボランチとサイドハーフのような横の関係ではない。
前から不思議に思っているのだが。
だが伊野波がボランチに入った時にこのプレーをやっていて、おっ!と思ったことがある。
しかも猛ダッシュである。
ガーロ在任時、チームメイトがプレーに迷っていた時にも、
伊野波のボールを呼び込む動きだけは別物。
それは停滞していたチーム内にあって、異質とも言える輝きを放っていた。
私は全力でプレーする選手が好きだ。
だから伊野波が好きだ。
その伊野波が日本代表に選ばれたことが今、本当に嬉しい。
病院経由サウジ&イエメンてわけには [ 日本代表 ]
オシム監督はアウエー連戦となる9月のアジア杯予選に向け、代表候補メンバーの再調査を指令
キーワードの1つは環境適応能力だ。日本との6時間の時差調整はもちろん、2試合で20度もある気温差で戦える選手はだれか。サウジアラビア戦が行われるジェッダは高温多湿で気温40度を超える日もあるが、イエメン戦が行われるサヌアは海抜約2200メートルの高地で、気温は20度前後までしか上がらない。環境の激変に対応できなければ技術は宝の持ち腐れだ。そして候補として記事内で名前が挙がっているのが、
中2日の強行日程に耐えるスタミナも不可欠で「連戦に強いのは当然」とあるスタッフ。高地サヌアは酸素が薄く、体力の消耗が早いため、持久力のある選手がより求められる。
小野、小笠原、田中達、闘莉王、松井、石川、徳永、田中隼と千葉勢。
本来なら真っ先に名前が挙がるはずなんだがなぁ、今野は。
アテネ五輪アジア地区最終予選でUAEラウンド3試合、日本ラウンド3試合の計6試合に
(しかも各ラウンドの3試合は中1日、ラウンドのインターバルは中8日!)
チームメイトが謎の体調不良や強行日程でコンディションを崩す中、
全戦フル出場して大活躍したのは記憶に新しい。
まさにうってつけの人材だ。
しかし、あいにくのケガ。
8/10から数えて全治3週間だから、ちょうど遠征出発日に復帰出来るかどうか。
やっぱ厳しいか。
後出しじゃんけん [ 日本代表 ]
日本サッカー協会の川淵三郎会長がFIFAワールドカップドイツ大会前に
ジーコ前監督を解任する考えがあったことを明らかにした。
へー。
実は俺もジーコのことはダメだと思ってたんだよってか。
自分に吹きつける逆風を少しでも和らげようとしてるのかな。
しかし今になって前代表監督の話か。
しかもこれって、俺はこう考えてたってだけだから、裏の取りようがない。
そんなこと露ほども思っていなくたってそれを確かめる術がないのだ。
逆に、本心からそうだったとしてもそれを証明する手だてがない。
ということは、私のようにいらぬ勘ぐりをする人間に対しては
勘ぐる材料を与えるだけであり、逆効果だ。
いずれによせ、あまり賢いやり方とは思えないんだけどねぇ、川淵会長。
Boys be ダイナモ [ 日本代表 ]
アジアカップ2007予選 日本代表対イエメン代表は20で勝利。
自宅で後半からのTV観戦。
TVつけて驚いた。
後半開始の時点でまだ00だったからだ。
苦戦だったのは間違いない。
でもまだ2試合目、これからだろう。
前にも引き合いに出したことがあるが、Jリーグ世代の私が知る最高の日本代表は
アジアカップレバノン2000の日本代表。
ダイナミック、アグレッシブ、スピーディ、スペクタクル。
たくさんのカッコいい形容詞で飾られる日本代表だ。
あれを超えて欲しい。
内容でも結果でも圧倒してアジアの頂点に立って欲しい。
今日の試合でその片鱗を窺わせるのが、縦方向の動きの多さ。
特にボールを追い越す動きが多い。
それが互いに連動し合ってボールをスピーディに、大きく動かせるようになれば
ダイナミックな攻撃が生まれる。
アジアカップでそんなサッカーが見られるようになるか、楽しみだ。