あとは天命を待つのみ [ 日本代表 ]
キリンチャレンジカップ エクアドル戦の日本代表メンバー発表
決勝トーナメント1回戦のコンディショナルチケットが当たって、ドイツ行きが現実味を帯びてきた時、
日本がトーナメントに進出する可能性を出来る限り冷静に計った私の感触は、
クロアチア、オーストラリア、日本の3カ国に等分にあるのではないかというものだった。
だが、アメリカ戦に始まってボスニア・ヘルツェゴビナ戦までの
アジアカップ予選を含む一連のテストマッチを観て、徐々に希望がしぼんできた。
今日の時点で既にオーストラリア戦まで3ヶ月を切っている。
少なくとも現状のままではトーナメント進出は困難だ。
なんたってボスニア・ヘルツェゴビナにガタガタにされてるくらいなんだから。
だとすれば短期間の間にチーム内にドラスティックな変化を起こさなければならないが、
多少のコンディションの差はあっても、個々の選手のスキルがいきなり上がることなど期待出来ない。
監督に対してはもはや期待をかけること自体がアホらしい。
残るはチーム内のコミュニケーションによって質を上げることだが
これは2005年6月に開催されたコンフェデ杯のギリシャ戦とブラジル戦で実績がある。
だから可能性としてはなくはない。
しかし逆に言えば、4年間やってきてこの1回こっきり。
それはやはり準備に時間を要するのと同時に、メソッドとして確立されていないからだ。
その時やってみないとわからない。出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。
ははは、いやぁ嬉しいね。
4年前と比較して日本代表は長足の進歩を遂げたよ。
代表級 [ 日本代表 ]
Jリーグ第1節ガンバ対浦和戦の加地のゴールを見て、
一番驚いたのは(本人を除いて?)東京のサポーターではなかっただろうか。
私自身「あの加地が。。。」と絶句したし、
翌日の試合開始を待つ味の素スタジアムでも同様の声が聞こえてきた。
以前にも書いたことだが、自分に向けて「加地が日本を代表するレベルの選手であるか?」
という問いが発せられたとしたら、はっきり言って「疑問である」と答えざるを得ない。
サイドバックに求められる能力のうち、重要なものが優れているとは言い難いからだ。
目前に立ち塞がる相手DFをかわす突破力
ゴール前で待ち構える味方FWに合わせるクロスの精度
相手のサイド攻撃をくい止める1対1の守備能力
これらの能力において、加地は代表級であるかと言えば、難しいだろう。
しかし、次の能力においてなら話は別だ。
1試合を通じてポジションを上下させる運動量
攻撃参加を仕掛ける絶好のタイミングを見抜く戦術眼
言い換えれば、加地は知力と体力には優れるものの、技力(個人技)に欠けるのだ。
3つ並べるとそのうちの1つに過ぎないが、致命的であると思う。
もちろんそれは、一国を代表する選手としては
(少なくとも東京においては、突破力に関してはあまり問題にはならなかった)。
その加地がなぜここまで継続的に日本代表のレギュラーとして選出されているかと言えば、
まず第一に、Jリーグでは3バックが主流であるため、
純正サイドバック(3バックでのウイングバック/ハーフではなく)としてプレーする選手自体が少ないこと。
第二に、代表監督がJリーグの試合を観戦して埋もれた才能を発掘・抜擢する努力を怠っていること、
が挙げられる。
その加地が見せた浦和戦でのゴール。
三都主が作っていた浦和DFラインのギャップを突いて裏を取り(知力)
絶妙の肩トラップで三都主がチャレンジ出来ない位置にボールを落とし(技力)
利き足ではない左でボレーシュート(技力)
相手があの三都主だったのでかなり割り引いて考えなければならないが、
それでも、まさに代表級のスーパープレーには違いない。
W杯イヤーに臨む日本代表不動の右サイドバックとしての矜持が加地のプレーを変えたのだろうか。
願わくは、W杯本大会で私が、東京サポーターが、そしてその試合を観戦するすべての人々が
驚くような活躍を披露されんことを。
追記
記事中では触れていないが、記念すべき加地のJ1初ゴール(2002年J1リーグ2ndステージ第8節札幌戦)も
ハーフボレーの30mロングシュートと、実はすごいゴールだった。
記事を書くにあたって動画を探してみたが、見つからず。残念至極。
あと3ヶ月の辛抱とは言えない [ 日本代表 ]
中田がヒデメールで言っている、「長所を“さらに”有効に使うための他の手段をもっと上手く使」うこと
「以外に、もっと根本のところで」抱えている「大きな問題」とは何か。
それは、そのすぐ次に書いてある、以下のことが決まっていないこと。
「選手達はこれからWC本番までの3ヶ月、いったい何を目的に練習や試合をやっていくのだろうか?
WCの代表選手に選ばれる為?自分自身が代表で良いプレーをする為?それとも、WCで勝つ為?」
すなわち、タイトルにある「日本代表の方向性」が決まっていないこと、なのだろう。
じゃあ、その方向性を決定するべき人間とは一体誰か。
うーん、誰でしょね。
日本サッカー協会の川淵キャプテン?
技術委員長の田嶋?
ピッチ内の監督である中田?宮本?
それともサポーター?
ほかに誰かいたっけか。
あ、あの人だ!
当たった [ 日本代表 ]
なんとワールドカップドイツ2006のコンディショナルチケットが当たってしまった。
日本サッカー協会によるラウンド16の一般販売1,969枚のうちの2枚が。
約87倍と言われた倍率(ただし1次リーグ3試合分)をかいくぐって。
しかし、微妙だ。
決勝トーナメントが決まるのは、早くて第2戦が終わった6/18。
遅いと第3戦の6/22。
決勝トーナメントのE組1位対F組2位が行われるのは6/26だから、
チケットが実際に手に入るかどうかが確定するのは最悪試合の4日前ということになる。
前日にドイツ入りするとして出発日の3日前か?
これは、26日前後にもう一枚チケットを確保しないと到底割に合わない。
今までドイツに行く気はさらさらなかったから、チケットの確保方法がさっぱりわからん。
もちろんホテルも飛行機も。
うひゃー。
2つの日本代表 [ 日本代表 ]
北朝鮮女子代表対なでしこジャパンは01で敗戦。
試合後、解説のセルジオ越後が言っていた。
「私たちが悔しいということは、それだけ戦っていたということですね」
まさに。
いつもきれいにボールを回して相手を崩し、得点を重ねる女子代表が
自分たちのサッカーが出来ずにもがき苦しみ、それでも必死に戦い
そして敗れた姿をTV越しに見て、私も本当に悔しかった。
逆に、一国の代表という責任を背負っているにも関わらず、
戦うという最低限のことが出来ない昨日の男子代表って一体何なんだろう。
コンフェデで見せたパフォーマンスが続くことに期待を寄せた自分がバカみたいだ。
一度どん底を経験して毎試合毎試合に危機感を持って臨む女子代表に比べ、
男子代表は緩みきっている。
全くもって腹立たしいことだ。
男子代表の場合、北朝鮮に負けたことそのものよりも、そっちの方がムカつく。
観客を舐め切ったその態度に我々が行うべきは、
スタジアムに足を運ばないか、ブーイングか、どちらかしかない。
ベクトル [ 日本代表 ]
2度追いつく展開となったコンフェデ杯ドイツ2005第3戦ブラジル戦。
記事を書くにあたって何とかまとめようと思い悩んでいたが、いつものように簡潔にまとめることが出来ない。
私はこれまで、結果至上主義で志の低い日本代表を批判してきたが、
ギリシャ戦で豹変する姿を見て驚いた。
そして期待を胸に臨んだブラジル戦、
私の目には一言で批判も出来ないし賞賛も出来ない日本代表がそこにいた。
試合開始当初、加地の疑惑のオフサイドゴールに象徴されるように、アグレッシブな入り方をした日本。
今までの親善試合やアジアカップ、W杯アジア予選を思い起こしても、
(4バックのサイドバックよりも高い位置にいる3バックの)ウイングバックがスルーパスに抜け出して
決定的チャンスをつかむ場面があっただろうか。
つまり、それだけ前からの意識が高まっていたということだ。
だがブラジルの早くて正確なパスに翻弄され、日本は段々前からのプレッシャーをかけられなくなる。
この辺り、奪えないとチーム全体で判断した上であえて引いて守る形に変更したのか、
それとも積極性を殺がれて下がってしまったのか。
私には、これまでずっと消極的な戦い方を続けてきたがために、
せっかくいい入り方をしたのに、いとも簡単に積極性が失われてしまったようにも感じられた。
元々が批判的な私はどうしてもマイナス方向に見がちなのだが、実際のところはどうなのだろう。
そんな中で生まれた中村のスーパーゴール。
まさにゴラッソ。
世界級のプレーだったが、その5分後にあっさりと突き放される。
気を付けるべき時間帯とわかっていながらやられる。
ブラジルにしてみれば、同点に追いついて勢いに乗る相手の出鼻を挫く
最も有効な時間帯にきっちり得点をしてみせる。
世界との壁を感じた瞬間だった。
それでも終了間際に追い上げ、あわや逆転のシーンも作り出した日本。
世界との壁を打ち破る可能性を感じさせた。
いまいちまとめ切れないのは、湯浅健二の言葉を借りれば、
”日本代表が展開しているサッカーベクトル方向の舵”がどっちの方向を向いているのか判断がつかないからだ。
メキシコ戦では明らかにマイナス。
ギリシャ戦は間違いなくプラス。
ブラジル戦は”?”。
ギリシャ戦で見えたプラス方向のベクトルが、ブラジル戦で確信に到ることを期待していたが、
そうはならなかったために判断を留保せざるを得なくなってしまった。
非常に据わりが悪い。
本大会で戦う強豪国威相手に果敢に挑むスタイルに脱皮するのか、
それとも結果重視のリスク回避スタイルを継続するのか。
ここまで書いてきてふと気付いたが、
そもそも目指す方向性がよくわからんという状態がよろしくないんだよな。
何かが変わった [ 日本代表 ]
驚いた。何が日本代表をここまで劇的に変えさせたのだろうか。
コンフェデ杯ドイツ2005のグループリーグ第2戦ギリシャ戦は10の勝利。
前から積極的にボール奪いに行く姿勢、複数でかけるプレッシング、
ボールを奪った後の素早い動き出しとサポート、ボールを追い越して果敢に仕掛けるフリーラン、
そして強いフィニッシュへの意識。
ギリシャ戦の日本代表は、とにかくアグレッシブだった。
日本代表の試合を観て(TVでだが)こんなにわくわくさせられたのは、それこそ何年ぶりかだ。
ピッチ上にはリスクを負いつつチャレンジする姿勢があった。
久しく日本代表に見られなかったものである。
そして前線で高速につなぐパスワークも素晴らしかった。
私が日本代表に向けていた冷めたまなざしは開始10分で変わった。
ここ数年、一歩引いた視線で眺めるようにして見ていた私が、
純粋に日本の勝利を願い、大黒のゴールに素直に歓喜した。
それにしても、一体何がここまで日本代表を豹変させたのだろうか。
アジアカップレバノン2000でトルシエのサッカーが一気に花開いたように、
コンフェデ杯ドイツ2005でジーコのサッカーが一気に花開いたのか。
だがユース代表や五輪代表でその兆候を見せていたトルシエに対して、
ギリシャ戦をジーコサッカーの開花とするにはさすがに唐突過ぎる。
メキシコ戦で不甲斐ない戦いぶりを晒してから中2日しか経っていない次の試合で
ジーコ体制になってから初めてとも言えるチャレンジングな姿勢の表出は、あまりにも突然だ。
だがしかし、日本代表は確かに違っていた。それは事実だ。
問題は、それが持続するかどうか。
長らくリスクを負わない、志の低いサッカーのままで安穏としてきたがゆえに
また安住の地へと舞い戻ってしまう可能性は十分にある。
幸い次戦の相手はブラジル。
メキシコに負けたためにグループリーグ突破を直接日本と争うことになった。
最初からセコく引き分けを狙っては来ないだろうと期待したい。
そんな本気モードのブラジルに対して、自陣に引きこもってリスクを回避してカウンターを狙うのではなく
前から前から、積極果敢なプレー姿勢を見せられれば、一皮向けたと言っていいのではないだろうか。
一体何が契機になったのかはわからない。
だが、また私が純粋に応援できる日本代表が戻ってきてくれる、そんな予感に
今は少し嬉しい。
希望的観測 [ 日本代表 ]
コンフェデ開戦。
結果のみを追求するサッカーを展開し、W杯出場権を勝ち取った日本代表。
各種媒体で評論家の意見を読むと、本大会までの1年間、
ジーコが内容や、あるいは世界と伍することの出来るサッカーへと転換を図っていくだろう、
と予想するものが多い。
だが私は、それは全くの希望的観測に過ぎないと断言する。
これからも変わらず、己の理想を具現化するような意図のある練習を組めずに、
若手や旬の選手を起用することなく、ジーコにしかわからない理由で特定の選手に固執し、
結果、何らの大きな変化も見出せずに本大会を迎えることになるだろう。
ジーコは相変わらず天然なことをのたまっている。
「前回のフランス大会では試合間隔が中1日だったが、今回は中2日もあるので先発メンバーは固定したい」
彼は自分のしたことを覚えていないのであろうか。
その前回大会で、メンバーを固定し続けて批判を浴びたことを。
要するに何も考えていないし、何も経験から学ばない。
これではPDCAを繰り返し、ある目標に向かって近づいて行くことなどできるわけがない。
そしてまた1年、日本サッカーの頂点が停滞するのである。