元を辿れば自業自得(今風に言えば自作自演) [ 日本代表 ]
アジアカップ準々決勝ヨルダン戦。
絶体絶命の崖っぷちから、川口の手によって準決勝の舞台へ引き上げられた日本代表。
気候、完全なアウェイの雰囲気、基準の曖昧な判定などの
不利な条件を跳ね返してベスト4入りを果たしたたことはよくやったと思う。
PK戦なんてもう終わったと思った。
なかなかこんなドラマは見れるものではない。
逆境になればなるほど力を発揮する川口の精神力には脱帽である。
そして観客の日本に対する悪感情。
TV朝日で流れたこの映像(重慶の観客aviファイル4.1MB)を見て、私は少々たじろいだ。
今までTV画面の背景として聞こえるブーイングと、テキストベースの記事でしか知ることのなかった
観客の過剰とも思える反応に対して。
この雰囲気の中で冷静に試合をする代表選手は立派だ。
現地へ行っているサポーターも本当に気をつけて欲しいと思う。
だが、これら諸々の周辺事情を考慮してもなお、
日本が今回招いた崖っぷちの危機は、2回のオマーン戦同様、自業自得であると私は思う。
ヨルダンは侮れない相手だった。個力も、組織力も高いものを持っている。
しかし、個力の総和としての実力は日本が上だ。それははっきりしている。
ならばヨルダンが見せた良いサッカーの上を行かなければ嘘である。
仮に実力が拮抗している、あるいはヨルダンの方が上だったとしたら
(これは私のよく行く某掲示板に似たようなことを書き込んだのだが)
今度は、ほかの全てが負けてても、戦う気持ちだけは負けないという、そういう試合をして欲しい。
いや、しなければダメだ。
それが一国を代表する選手だし、プロのアスリートだ。
ところが実際には、低調な内容の上に勝負への執念を見せたのはPK戦だけ。
観ていて楽しくなるようなハイレベルなサッカーも、
観ている方が勇気を得らえるような気迫のこもった戦いぶりも、
今の日本代表にはない。
それこそが、あそこまで日本を追い込んだ最大の原因だと思う。
今の日本代表のサッカーを評して「大人のサッカー」と言われる。
おそらく言いだしっぺは後藤健生だ。
私は後藤健生が好きで著書をたくさん持っているからよく知っているのだが
彼は自著で、結果と内容をトレードオフに考えると語っている。
つまり、結果か内容、どちらかが良ければいいという考え方。
今の日本代表は内容は乏しいので、結果を追求する省エネサッカー、すなわち大人のサッカーで
勝利をもぎ取ってくれればそれで良しということになる。
しかし、ここだけが後藤健生と相容れない部分なのだが、
実力が自分より下のチームに対してはサッカーの質を追及すべきだし、
それができないような実力が上のチームに対しては、戦う姿勢を見せて欲しいと私は思っている。
勝利に対する執念を、ボールに対する執着心を。
北朝鮮に立ち向かった女子代表のように。
私たちがサッカーを語る時、何について語らうのか。
ただ単に勝負の行方のみか。
答えははっきりしている。
大人のサッカーなんてつまらない。
結果だけのサッカーなんて熱く語れないのだ。