手は届く [ 女子サッカー ]
負けてしまった。
アテネ五輪女子サッカー準々決勝日本対アメリカは12で敗戦。
日本は自分たちのサッカーが部分的にしか出せなかった。
例えば川上のオーバーラップ。
フェイントではなく、ボールを弾いてそれを追っかけるようにスピードで抜くタイプの川上に対して
アメリカは必ず数的優位を作り、カバーを行うディフェンダーはやや距離を置いて
最初からスピード勝負に持ち込ませない形を作っていた。
不動の左サイドバックだった川上の交代は、
アメリカの川上封じが効いていたために、そうせざるを得なかったと言える。
そして、失点後の日本の攻撃。
結果的に失点した後の日本は、落ち着いてボールを回し、
自分たちの形を作ることが出来なかった。
前半終了直前の失点は、ハーフタイムを挟むことで修正が効いた。
しかし2点目の失点、そしてナイジェリア戦の先制点を失った後は
焦ってロングボール一辺倒になってしまった。
縦へ縦へと急ぐあまり、サイドチェンジなど横へボールを動かすことができず、
日本が得意とする、サイドのスペースを有効に使うことが出来ない。
逆にパワープレイに持ち込むべき終了間際の時点では、
それまで何度も失敗していたイメージが強くあるためか、
簡単にボールを放り込むことが出来なくなっていた。
最後に力を出し切れなかったのは残念だった。
だがこれまでの実績を考えると、日本と世界との距離は劇的に縮まったと言える。
五輪で初勝利を挙げた。
これまで大差がついていた世界大会における強豪との対戦は僅差のゴール差だった。
そして何よりも、自分たちのサッカーが世界に通用すると確認できた大会だった。
女子サッカーの歴史は始まったばかり。
世界はもう手が届くほどに近づいている。
私たちは、前を向いて一心に歩む彼女たちの姿を見つめている。
PR