ザッケローニの弱腰 [ 日本代表 ]
2014 FIFAワールドカップ グループリーグ第2戦 日本対ギリシャは0-0のスコアレスドロー。
決勝トーナメント進出が厳しい状況となった。
2戦を終えて1得点2失点、相手に退場者が出て数的優位に立ったギリシャ戦も無得点に終わり、
攻撃の不発感が覆う日本代表。
分析すれば要因はいくつかあるのだろうが、個人的に非常に気になる点がひとつある。
それは、遠藤。
遠藤はザッケローニ監督就任以降、最も出場時間の長いフィールドプレイヤーである。
GK川島がトップの3,758分だが、その差わずか23分。
遠藤がどれだけザックジャパンの屋台骨を支えてきたかわかるだろう。
その遠藤が第1戦コートジボワール戦では不出場、第2戦ギリシャ戦では後半開始からの出場。
代わりに先発の座をつかんだのが山口蛍だ。
彼はいわゆるダイナモ系の守備的MFで、海外の有名選手で例を挙げるなら、
ダービッツ、マケレレ、エッシェンといったところか。
(挙げた名前が一昔前なのは、筆者の海外サッカー知識が一昔前のためである)
遠藤はあらためて言うまでもなく守備寄りではなく攻撃寄りの選手。
その遠藤を外して山口を入れるということは、単純に中盤を守備的に構成するということ。
しかも攻撃を組み立てるパスに唯一無二の才能を発揮する遠藤を外すことはつまり、
チーム全体の軸足をやや守備的な方向に移したということでもある。
繰り返すが遠藤はザッケローニ監督就任以降、最も出場時間の長いフィールドプレイヤーである。
そして攻撃を組み立てるパスに唯一無二の才能を発揮する選手。
私ごときが言うまでもなく、遠藤はザックジャパンの攻撃を司る選手なのだ。
その遠藤がコートジボワール戦はともかくとしても、(個人的にはともかくとしたくないが)
勝つしかなくなってしまった第2戦で、しかも堅守速攻型のギリシャ相手に先発させなかったのは
私にはどうしても納得が行かない。
もちろん細かい状況はわからない。
大会直前に小さな怪我をしたかも知れないし、
我々が思っているほど調子が上がっていないのかも知れない。
同じチームで日々状態をチェックしていないとその辺りの本当のところはわからない。
だがしかし、本番に来てザッケローニが弱腰になってしまったのではないかと思うと、
私は非常に残念なのである。
東京型4-3-3 [ FC東京 ]
2014年シーズンのJリーグが開幕し、初戦の柏戦をTV観戦した所感など。
まず驚いたのが、システムが4-3-3だったことだ。しかも攻撃的なバルサ型4-3-3。
バルサ型4-3-3とは私が個人的に使っている言葉で、一般的な用語では全くない。
しかし非常に特徴的なシステムなので他の4-3-3と区別するために使用している。
バルサ型4-3-3の特徴を列挙すると
・超攻撃的なサイドバック
・中盤の底に1人のアンカー
・攻撃寄りの2人のセントラルミッドフィールダー
・両サイドに突破力のあるウイング
・万能型の1トップ
一言で言い表すなら”攻撃的”である。
攻撃にかかった際には、2人のセンターバックとアンカーの3人が残り、
GKを除いたほかの選手は全て攻撃に加わる。
私は事前情報をほとんど入れていなかったこともあり、
イタリアから来た新しい指揮官がまさかこのバルサ型4-3-3を採用するとは予想しなかった。
しかも、バルサ型4-3-3よりも更に攻撃的な戦い方をしていて二度びっくりである。
上記のようにバルサ型ではアンカーは2人のセンターバックとともに最後尾に残り、
相手のカウンターに対するファーストディフェンダーとして重要な役割を担う。
従って、全体としては超攻撃的なバルサ型4-3-3も、(センターバックと)アンカーだけは
守備専従と言ってもいいほど守備寄りである。
攻撃の際も基本的にはボールのつなぎ役であり、積極的に上がったりはしない。
しかしフィッカデンティ監督はアンカーに高橋を起用してきた。
高橋は守備が非常にうまい選手だが、どちらかと言えばセントラルミッドフィールダータイプだろう。
実際、開幕戦でも攻撃に再三顔を出していた。
米本の負傷という事情はあるにせよ、アンカーが攻撃に顔を出すのは極めて珍しい。
おそらく今後の相手は高橋の上がったスペース、あるいは高橋の両脇のスペースを使ってくるだろう。
その時にこの東京型4-3-3の真価が問われる。
超劇的 [ FC東京 ]
天皇杯準々決勝 東京対仙台は2-1、極寒の仙台で行われた準々決勝は劇的な逆転勝利となった。
さすがに極寒は大げさかも知れないが、寒かった。
それなりに防寒はして行ったつもりにも関わらずそれを上回る寒さ。
特に足元が寒い。
しかも途中雨がパラついたりする中で選手たちはよく戦ったと思う。
とは言え内容は良くはなかった。
つなごうとして相手に渡してしまって失点した場面もそうだし、
仙台と比べてもても連動性はもちろん、動き自体も足りていなかった。
東京のディフェンスは裏を取られて必死に追っかけて守備、という場面が多いのに対し、
東京のオフェンス陣にはそういう場面が乏しい。
ただ以前よりはクロスを上げる際、相手GKとDFの間に入れようとしている意図は見えた。
結果的にあまり成功はしていなかったが、良い傾向だと思う。
試合前のアップの時点で体のキレを感じさせた石川は逆転ゴールの場面でもすごく良かった。
スペースを見つけてダッシュ、ボールを受けた後しっかり中を見てからクロス。
最終的に林がゴールを決め、平山も体を張って基点を作ろうとしていた。
仙台より明らかに上だったのは交代選手の質だろう。
もちろんそれだけでは勝てないし、交代選手が機能しないことも多々ある。
だがこの試合の東京で交代選手がそれぞれの持ち味を生かしてチームに貢献していたことは
仙台より明らかに上回っていた点として挙げられるだろう。
でもまあそんなことよりここで強調したいのは、超劇的な勝利だったことだ。
試合開始早々に失点し、ほぼ丸々一試合分リードされていた状態から
試合終了直前に起死回生の同点ゴール、
延長戦の終了直前に逆転ゴール。
そりゃー上がるというもんです。
年末、クリスマス気分も気持ちを高揚させる燃料になったんだろうか
試合後のあいさつに来た選手達がみんなでラインダンスするなんて
金輪際ないかも知れん。
そして次の準決勝はリーグ2連覇を達成してしかもあまり良いイメージのない広島。
客観的視点だとちょっと厳しいが…どうなるでしょうか!
付記
私は遠征に行く時にはゴール裏の端っこの方にいる。
一緒に行く友人が非常にライトなファンだからで、いわゆる声を出している場所に
連れて行くのはさすがに憚られるからだ。
で、今回も仙台スタジアムのアウェイゴール裏、バックスタンド寄りの角の辺りに居た。
のだが、何列か前に明らかに仙台サポとわかる格好の人が居て。
出で立ちから察するに、シーズンチケットを持っている人っぽい。
リーグ戦ではバックスタンド寄りのアウェイゴール裏は仙台サポの席だけど、
これは天皇杯だから。
周囲は東京サポだらけの中でよく観戦しようという気になるよね。
東京サポなら危険性は低いが、トラブルに発展しかねないところだってあるのに。
今では信じられないことだが、Jリーグが始まった当初はゴール裏に相手チームの
レプリカを着込んだ人が座ってるなんて光景はチラホラ見かけられた。
それをいまだに引きずってるわけでもあるまいに。
スペースとタイミング [ FC東京 ]
J1第21節 東京対横浜は0-2、今シーズン初の味スタでの観戦は0-2の完敗となった。
お盆休みで帰省していたので、ほぼ一年ぶりに味スタで観戦。
正直久々に観るホームでの試合がコレかよ、という試合だった。
もういつの頃からか、東京がポゼッションサッカーを目指し始めた頃からずっと言ってる気がするが、
東京はいつになっても、スペースを使う意識、スペースを作る意識が希薄だ。
具体的に言えば、足元パスが多過ぎる。
今のやり方は、非常に狭い地域で、非常に短い時間の中で、
非常にハイレベルな技術、非常に高度なコンビネーションを要するやり方だと言える。
それはつまり、成功確率が低いということだ。
がっちり守備ブロックを作られた場合に、ぐるぐるぐるぐるその周囲を回すだけになってしまう
という悪癖からは脱して、くさびを入れるまでは良い。
だがその後が前述のようなやり方だけでは、やはり継続的に勝って行くのは難しいだろう。
だからもっともっとスペースを意識して欲しい。
スペースへのパスは、多少コースがずれても大丈夫だし、タイミングもシビアではない。
やり方にこだわりがあるのかも知れないが、一考の価値はあると信じるのだが。
タイミングと言えば、クロスを上げるタイミングをもっと考えて欲しい。
目の前のDFをかわし切っていないが、中の守備が整っていない状態を狙って上げるクロスと
目の前のDFはかわしたが、中の守備が整っている状態で上げるクロスと
どちらがゴールの可能性が高いクロスだろうか。
私には明白に思えるが、東京に限らず日本の選手は私とは考えが違うか、
あるいはあまりその辺を考えているように見えない。
東京では私と同じ考えの選手が一人だけいて、左SBの太田だ。
彼のアーリークロスは素晴らしい。タイミングも、弾道も。
彼をもっと速いボールで、もっと正確にしたのが酒井宏樹。
自分のクロスに自信があるのだなと感じる二人だ。
守備におけるグループ戦術が非常に高度化した現代サッカーにおいて、
狭い地域でのシビアなタイミングを追及するよりは、
相手の守備陣が整っていないタイミングを外さないことの方がよほど効果的だと思う。
相手の守備陣が整っている状態をどう崩すかは、相手の守備陣が整っていない状態を
逃してしまった時の次善の策であるということをもっと意識すべきだと思う。
今シーズン初生 [ FC東京 ]
J1第6節 東京対仙台は1-2、今シーズン初の生観戦は1-2で惜しくも敗戦となった。
私は現在長野在住なので、金曜夜に車で東京に帰省、
翌朝早くに出発して友人を拾い、昼過ぎくらいに仙台に到着した。
前半は東京がやや押し込んでいたが一進一退でどちらにもチャンスがあった。
後半早々に決められた点はまあしょうがない感じかな。
コースもいいところに飛んで、結構すごいミドルだった。
しかし2失点目はいただけなかった。
前がかりになったところに速攻を受けた形だが、あとひと太刀浴びせれば防げただけに悔やまれる。
この2失点目がなければ、個人的には(結果的にも)悪くはない試合だったのだが。
終盤平山を入れて反撃に出たが、いきなりパスミスをして不安に駆られる。
しかしその後は前線でポイントになることが出来ていた。
特に中盤やや前目から簡単にペナルティライン付近の平山に入れて
バイタルエリアを使う攻撃はかなり効果的だった。
この時間帯は得点に匂いがぷんぷんして、2点目も期待出来たのだけに
結局コーナーキックからの1得点に終わったのは残念。
カウンターを受けて結構簡単に失点してしまうシーンは
割と最近よく見るような気がするのだが何とかならんもんか。
それとこれは以前から指摘していたことで我が意を得たりという感じなんだが、
やはり平山は、頭へのボールの競り合いに使うのではなく、
足元へのボールでキープ、展開させた方が良い。
平山は身長がやたらとあるせいで、高校サッカーの時にはその優位性だけで
ハイボールの競り合いも滅法強かったが、プロになってからははっきり言って分が悪かった。
それまでガタイの良さに頼ってきたせいだ。
プロになれば高さでは勝てなくても、自由にプレーさせないようにするDFはたくさんいるのだ。
しかし同じポストに使うのでも、高いボールではなく低いボールを出すとなると、
出す側にも工夫が必要である。
長距離だと途中でカットされてしまう危険性が増えるので
出し手と受け手のタイミングを合わせることやパスの強さが必要だし、
短距離だとそこそこ上がった位置になるからその分相手からのプレッシャーが強くなる。
その状況で前を向き、コースからDFを外すテクニックを発揮する中でパスの正確性が求められる。
こうした平山の使い方に対しては、次か、次の次くらいからは相手も研究して対策を練ってくるだろう。
非常に有効な攻撃なだけに、それらを乗り越えてブラッシュアップしていって欲しい。
今回、久々の生観戦となった。
やっぱり生で観ると楽しい。
結果は負けだったわけだが、個人的には無茶苦茶楽しかった。
回数は限られるけれども、できる限り現場で観戦したいとあらためて思ったのだった。
あの日の中山雅史 [ その他サッカー ]
明けて2013年1月1日。
第92回天皇杯決勝が行われた。
私はTV観戦したが、ゲスト解説があの中山だった。
ドーハの悲劇からサッカーを観始めた”にわか”である私にとって、
中山雅史はまさしく日本を代表するフォワードである。
全く個人的にはだが、日本代表のフォワードと言えば中山なのだ。
年齢を重ねるにつれなお研ぎ澄まされていく得点感覚。
いつでもどんな相手でも見せる熱い、熱い全力プレー。
中山雅史ほど胸を熱くさせる選手はいない。
その中山が、今シーズンを限りに引退するという。
遅ればせながら、中山の思い出を綴ってみたい。
私が思い出すのは、2001年8月15日に静岡スタジアムで行われた
アジア・オセアニア選手権の対オーストラリア戦である。
前年にアジアカップレバノン2000で他を圧倒する内容で優勝した日本代表は
翌年3月に行われた最初の試合に意気揚々とフランスに乗り込むが、惨敗。
いわゆるサンドニ・ショックを経験する。
対アジアでは圧倒的だったレベルも、対世界では守備的にならざるを得ない
と判断したトルシエ監督は、一度極端に守備的に振ったスペイン戦を0-1で乗り切り
1ヶ月の間をおいてコンフェデレーションズカップに臨んだ。
バランスを整え直したコンフェデでは、歴代日本代表の最高峰とも言える内容で
決勝までたどり着き、2ヶ月半前に惨敗した相手、フランスと再び相まみえることになる。
惜しくも敗れはしたが、世界基準で戦えることを示した大会だった。
それからさらにキリンカップ2試合を経て、当時竣工したばかりだった静岡スタジアムでの
ワールドカップ開催の事前準備も兼ねた親善試合、アジア・オセアニア選手権が行われることになる。
この試合、2-0でリードした後半20分、中山が途中出場のためピッチ脇に現れると、
4万6000人を集めたスタンドからもの凄い大、大、大歓声。
状況的には、交代要員がピッチ脇に立っただけである。
日本は2点差でリードしており、劣勢を跳ね返す場面でもない。
それがこの日一番の大歓声を沸き起こした。
ホーム側ゴール裏最上段近くで観戦していた私は、自身も叫びながらそれを聞いて鳥肌が立った。
日本代表には、俺たちには中山雅史がいる、そう実感できた瞬間だった。
私はあの日静岡スタジアムでの大歓声を一生忘れないだろう。
そして中山がこれからも、現役時代に見せてくれたような全力プレーで、
日本サッカーを牽引してくれることを願っている。
再出発のお知らせ [ その他サッカー ]
久しぶりの更新である。
前回の更新から3ヶ月も経ってしまった。
その間東京はなかなか勝ち星に恵まれず、新外国人の加入があり、谷澤の移籍があった。
オリンピックでは男子のベスト4、そしてなでしこの準優勝があった。
この間更新できなったのにはわけがあって、実は転職とそれに伴なう引越しをしたのである。
それも東京から200km以上離れた遠方、長野県に。
よほどのことがない限り、もう東京に戻ることはない。
当然のことながら一大決心だった。
2004年2月に開設した当ブログは、1回の移転を経つつ、地味に更新を続けてきた。
一時期はほぼ毎日更新するぐらい気合を入れてやっていたが
ここ数年はあまり頻繁には記事を書いていないながらも、細々と維持してきた。
開設以来、私はサッカーの素晴らしさを伝えたいという思いで一貫して書いてきたつもりだ。
サッカーというスポーツの、そして試合のどこが良かったのか、どうすれば良くなるのか。
これからは地理的条件により、現地で観戦する機会は大幅に減るだろう。
90%程度はTV観戦になると思われる。
しかもまだスカパーの受信環境が整っていなかったりするが。
ただし、これは最後のあいさつではない。
転職と引越しに付帯するゴタゴタがひと段落したので、また細々とながら更新を再開するつもりだ。
読者がそんなにいるわけではない当ブログではあるが、
あらためて、ご愛読のほどお願い申し上げたい。
悔しい敗退 [ FC東京 ]
ACL決勝トーナメント1回戦 東京対広州恒大戦は0-1。
悔しい悔しい敗退となった。
以前にもちらっと書いたことがあるが、私は勝利への執着があまりない。
その割に内容至上主義とかほざいて気持ちのこもったプレーを見せろと要求しているが
それは自分にそういった素養が薄いことの裏返しであろうと自分なりに分析している。
だから負けてもあまり悔しいという感情は起きなくて、
よくあるパターンが”ただただ脱力する”である。
これはもちろん負けたことによる影響ではあるが、悔しいというのとはやはり違う。
そんな私が昨日の敗戦では非常に悔しかった。
もう少しで勝てたのに、という悔しさだ。
選手はよく戦ったと思う。
特に一発勝負の敵地で初めての相手にいつものサッカーを貫いた勇気には敬服する。
それだけに、今更ながらこの決勝トーナメントの不公平さには一言書きたい。
それは一発勝負なら中立地開催だろう、ということだ。
気候的にも、移動距離/時間的にも、ピッチの状態的にも、
ホームのチームに利があり過ぎだろう。
1位抜けと2位抜けのチームの差としても大きいと思う。
そして広州恒大との差は、仮定の話になってしまうが、
ホームが入れ替わっていたら逆転できるレベルであったろう
という部分において、非常に悔しさを感じるわけである。
もし次回出場時に現行のルールのままだったなら、1位抜けは必須だ。
何はともあれ、良いものを見せてもらったと思う。
近いうち、また出たいね。